晩年にかけてディックは、「私の人生を組み直すためにやってきた」一種の「スーパーエイリアン」(超異星人)に取り憑かれたと信じこむ。(1)

『世界不思議百科』  総集編

コリン・ウィルソン +ダモン・ウィルソン 青土社 2009/6

天使が取り憑いた作家 P・K・ディック

<繊細で過敏>

・アメリカの人気SF作家フィリップ・ディックは、19823月に他界するが、生前からすでに現代SF作家のうちでもっとも尊敬される立場を獲得していた。

・「この作家は形而上の問題をSF的分析にゆだねる技法で第一人者だった」。尊敬の根拠はまさにこの評に尽きる。

 ディックは、先達H・P・ラヴクラフト(18901937)を唯一の例外として、著名SF作家のうちでもっとも神経が繊細な人間だった。「人間は非現実の網に絡めとられている」という概念に取り憑かれていた。この被害妄想は分裂症と言い得る程度まで進んでいたらしい。それでも晩年にかけてディックは、「私の人生を組み直すためにやってきた」一種の「スーパーエイリアン」(超異星人)に取り憑かれたと信じこむ。

<悟りと悪夢>

・それ以後のディックの作品の大部分は、妄想とまでは言えないにしても病的な陰影を帯び始める。

・ディックの初期の作品には一世代前のSF作家A・E・ヴァン・ヴォクトの影響が色濃い。

<代替現実>

・一方、後期の小説は暗いペシミスティックな色合いが濃厚となる。全体に共通する「現実」はなく、あるのは人間個別の幻像だけという認識が底流を形成する。ショーペンハウエルの悲観論哲学やブッダの思想の小説家とも見て取れる世界である。

 1963年、小説『高い城の中の男』で同年の最良のSF小説に与えられているユーゴー賞を受賞し、ディックはようやく広く国際的に認められる。

<孤独と妄想症>

この間にもディックの人生は次々に危機に見舞われる。神経衰弱、自殺未遂、離婚、借金をなんとか払うための小説の猛スピードのなぐり書き、妄想症の幻覚―金属の大きな顔が自分を空から見下ろしていた。

<人生を変えた「幻覚」体験>

・ところが197432日、ディックは自分の人生を一変させる「幻覚」を体験する。後にインタヴューのチャールズ・プラットにこう述べている。「私の心理的悩みは、まるで神様の決断によるかのように、きれいに消滅した。………なにか超越的な神の力が、それは悪ではなく寛容な力だが、状況に介入して私の心を元へ戻し体を癒し、私に美と喜悦と世界の安寧感を与えてくれた」。

 1ヵ月前の同年2月、ディックはアメリカとソヴィエトの両方の政府から訴追されていると思いこんでいた。また来る3月には死ぬ運命と諦めていた。

 某夜、ベッドで目覚め「不安と憂鬱」を相手にもがいていた時、ディックは灯火の渦巻きを見た。1週間後、ふたたび幻覚が現われる。しかし、今度は「完璧に構成された現代抽象画」だった。それが数百も数千も目がくらむような猛スピードで入れ代わり立ち代わり現われる。続いて「バルド・トドルの旅」(『チベット死者の書』に出てくる死後の旅)を体験し、女神アプロディーテと向き合っている自分に気づいた。この後」、眠りに入ろうとして夢うつつで漂っている時、女の声を聞くようになる。316日、「それは輝く色彩と見目良い形を保ちつつ火に包まれて出現し、私を内部と外部のあらゆる束縛から解き放った」。さらに2日後、「それは私の内部から外を見た」。換言するならディックは今や自分の内部に別の存在を感じていた。すなわち、彼は「乗り移られた」。専門用語を使うなら「憑依された」。しかし、それは慈愛深い存在らしい。

・以上は精神異常者にありがちな「たわごと」とも聞こえる。しかし、現実に起きたことは決してすべてが妄想の領域の出来事ではなかった。

<知能存在ヴァリス>

ディックが言うには自分は「知能存在」に乗り移られた。「木曜日と土曜日は私はそれを神と思い、火曜日と水曜日は地球外存在と思った。……それは私の体の治癒に取りかかり、さらに誰も気づいていなかった4歳の息子の命にかかわる疾病の手当ても始めた」。

 ディックがヴァリス(巨大活動知能システムの頭文字)と呼んだ「知能存在」は、ピンク色の光ビームで情報を彼の脳に注入した。

・この存在は目もくらむばかりの技術的知識を備えていた。工学、医学、宇宙論、哲学などだ。その記憶は2千年以上の昔にさかのぼり、ギリシャ語、ヘブライ語、サンスクリット語を語り、知らないことはないらしい。

 それは直ちに私の問題の解決に取りかかった。まず私の代理人と出版業者を取り換えた。

・この存在が私の仕事に関連する人々にかけたプレッシャーにより、私は急速に多大な金銭を得るが、妻はこの事実に感銘した。私たち夫婦には数千ドルの小切手が入り始めた。私に支払われるべきお金がニューヨークにあることをこの存在は知っていたが、決して明かそうとはしなかった。それは私をドクターのところへ送りこみ、ドクターはさまざまな病名を診断した。それは住まいの壁に壁紙をはること以外はなんでもやった。私の守護霊として止まるとも言った。そこで私は辞典で「守護霊」の意味を確かめた。

・伝記作家スーティンの調べによると、ディックは代理人—―暫くのあいだ縁を切っていた人物――を督促してエースブック社に印税を請求させ、同代理人は彼に3千ドルの小切手を送ったという。

 また妻テッサが確認したところでは、ディックは普通は絶対に病院へ行かないが、「霊」に促されると病院へ出掛けたという。

・一方、彼の体験は次のような啓示に結実する。「この世は悪ではない。ただ善の上に悪が覆いかぶさっているだけ。これを剝ぎ取ると、その下から清純な輝くばかりの善が姿を見せる」

 ディックの生活は改善し始める。これまでは一貫して金欠病。それが1974年の稼ぎは1万9千ドル。翌年は3万5千ドル。名が知れるとインタヴューの件数も増え、外国で翻訳される作品の数も増大した。数冊の本がハリウッドで映画化され、なかでも『ブレードランナー』は傑作の一つに数えられている。ディックは1982年に心不全で死亡するが、すでに数多くのファンのあいだでSFの教祖的かつ伝説的存在になっていた。

<どこまで信用できる「憑依」体験>

・ところでディックの「憑依」体験なるものは一体どこまで信用できる?この点、伝記作者ロレンス・スーティンは甚だ曖昧に終始する。しかし、作品のタイトル『神の侵入』からもうかがえるように、本人はこの体験を人生の最大の重大事と考えていた。しかし、スーティンの曖昧な態度も理解できる。ディックの言動には妄想分裂症の気配が多々あり、妄想分裂症は「幻覚」を見るからである。だが、ディックが幻覚を患っていなかったことを示す証拠も一方では多々ある。

 

ということで、霊の論理的可能性を認めるならば、それは取りも直さず「憑依」の論理的可能性も認めたことを意味する。

<高位の霊と低位の霊>

・ヴァン=ドゥーゼンは、スウェーデンの神秘家エマニュエル・スウェーデンボリ(16881772)が高位と低位の霊についてかなり詳しく書いているのを知り驚嘆した。スウェーデンボリによるとこれはいずれも「亡霊」で、低位のものは根性曲りや退屈に駆られた「地縛霊」である。低位と高位の割合は4対1で前者が圧倒的に多い。カルデックと同様にスウェーデンボリも霊は近い関係の人のみに「侵入」すると述べている。低位の霊が高位の霊を数ではるかに凌ぐのはこの理由からと考えられる。スウェーデンボリは「高位の霊」を天使と呼び、相手を助けることをその目的としている。低位の霊は悪魔ともみなされるが、結果的には人助けの機能もないではない。たとえば、患者の罪や欠点を指摘したりする。

<霊の世界は無意識界に>

・ヴァン=ドゥーゼンは次のような興味深い結論に到達した。「霊の世界はスウェーデンボリが書いた通りで、それは無意識の世界である」。

 これが正しければ霊の世界は――もう一人の注目すべき神秘家ルドルフ・シュタイナー(18611925)も断言したように—―私たちの「内部に」ある。とすれば、精神病の患者が幻像を経験する理由もおぼろげながら見えてくる。彼等はおそらく自分の深部、すなわち、その領域に生息する不思議な住民に自らを「解放」したとも考えられる。

 以上の文脈でとらえるならば、SF作家フィリップ・K・ディックの奇怪な経験も、単なる分裂妄想症として一方的に退けられないことがはっきりしてくる。ヴァン=ドゥーゼンの2冊目の著書のタイトルを借りるなら、ディックは「ほかの世界の存在」を知っていたという可能性にも私たちは着目する必要がありそうだ。

<宇宙からの訪問者の末裔・ドゴン族>

<UFO目撃>

1958年、ジョージ・ハント・ウィリアムソンというUFO専門家が『獅子の秘密地帯』という著書で次のような説を唱えた。「宇宙からの地球訪問は1千8百万年前にさかのぼり、それ以来彼等は人類の進化に手を貸してきた。ギザの大ピラミッドを建てたのもこの人たち」。聖書への言及があまりに多いせいか、ウィリアムソンの本はほとんど注目されなかった。

1960年、今度はフランスでルイ・ボーエルとジャック・ベルジェ共著の『魔術師の朝』という本が出版された。たちまちベストセラーになるが、1960年代の世界的「オカルト・ブーム」の先陣を切ったのもまさにこの奇書。本の人気は「ヒトラーは黒魔術に関係があった」など刺激的な内容に負うところ大だった。

当時世界は「空飛ぶ円盤」の熱狂の真っ最中。当然この種のテーマは人心に大いに訴える。UFOとの「接触」を自称する人――ジョージ・アダムスキーなど――が出す本はいずれもベストセラーの名をほしいままにした。目撃話の多くはヒステリー—―あるいはユングの言う「投射」(宗教的幻像)――として退けられるのが落ちだったが、ごく少数は状況がきわめてしっかりとしていて、聞くべき内容を備えている。

<デニケンのいんちきな宇宙人飛来説>

・ところが1967年、エーリッヒ・フォン・デニケンというスイスのジャーナリストが『未来の記憶』という本で『黒魔術の朝』をしのぐ大当たりを取る。英国では『神々の戦車』のタイトルで翻訳され、やがて百万部を突破する超ベストセラーとなった。この本も人類はまだ洞窟で暮らしている頃に宇宙人が地球を訪れ、大ピラミッド、イースター島の像、ペルー南部の砂漠地帯のナスカ線刻、南米の階段式ピラミッドなどの構築物を作ったとする内容。

 しかし、デニケンはあまりにも手前勝手な独断が過ぎ、やがて世間の信用を失う。

<ドゴン族の神話>

・「自分たちは、恒星シリウスの『宇宙人』より与えられた知識を備えている」。シリウスといえば、地球から8.7光年の彼方に輝く誰でも知っている恒星。ドゴン族の神話は私たちにこう告げる。「天狼星シリウスは暗い随伴者を従えている。それは肉眼には見えず、密度がきわめて高い」。これはずばりその通りで、シリウスはシリウスBと共に二ッ星を形成している。

<異星からの飛来>

・ドゴン族はさらにこう述べた。「われわれの知識は水陸両棲のノンモより伝えられた。そのノンモは、シリウスBと同様にシリウスの周囲をめぐり、重量はシリウスBの4分の1しかない星(むろん惑星の意味)からこの地へ飛来した。われわれはノンモを神として尊敬している」。

・この「箱舟」の接近で土が巻き上げられ、そのため船が「横滑りした」とも語った。「着地する際に炎が出た」とのことだが、小型の宇宙カプセルで着地したらしい。ドゴン族の神話は「このとき空に星のような輝く物体があった」としているが、母船と考えられる。

・「ノンモという魚状の生物が昔シリウスから地球へやってきて、地球の人々を文明化した」。ドゴン族が「ポトロ」と呼ぶシリウスBは地球上のいかなる物質よりも重い物質で成っていて、シリウスの周囲を楕円上に50年の周期でめぐっている。

<水陸両棲の動物>

・「マリの北西にはエジプトがある。さまざまな要素を考慮に入れると、ノンモが着地したのはこのエジプトの地だったに違いない」

・「バビロニア文明は渡来した水陸両棲の動物により創始された。その主なものはオーネと呼ばれ、フィリステア人はこれをダゴンとして知っている」

・「アビデヌスは魚状に生き物がオーネだけではないことを述べていないが、これは実にけしからぬ」。アポロドルスはこの渡来の者を「アネドッティ」(「すぐに反抗する奴等」)と呼び、海の「半怪物」と述べている。

<シリウス星の秘密>

・ドゴン族はエジプト人から物事を学んだ。その古代エジプト人にとってソティス(シリウス)は全天でもっとも重要な星だった。紀元前3200年以降、エジプトの新年の始めにシリウスは夜明け直前に姿を見せ、これがナイル川の氾濫が合図だった。

 こうして天狼星シリウスは川の水の上昇を告げる神となる。女神ソティスは女神イシスと同一視された。テンプルはこう指摘する。「エジプトの古墳の壁画ではイシスはほかの2人の女神アヌキスおよびサティスと共に小船に乗って描かれていることが多い。これはエジプト人が シリウスが三連星であることを知っていた証拠。未知の『シリウスC』がノンモの故郷である」。

・「また、ホメロスに登場するセイレン—―人魚に似た生き物ですべてを知っていて、男を日常の生活から誘惑する—―は、実際は水陸両棲の女神シリアンである。またギリシア伝説イアソンの船アルゴーは女神イシスに関係があり、その漕ぎ手50人はシリウスBがシリウスAの周囲を一周するのに要する年数50年に対応している」。ギリシア神話にはほかにも魚の胴体を備えた生き物が数多く登場する。海からやってきて金属細工を含むさまざまな技芸を人間に教えた、ロードス島のテルキネスもこれに含まれる。面白いことにテルキネスの頭部も犬だった。

 

・しかし、あらゆる議論が出尽くした後に残るものは次の奇怪な事実だ。「アフリカの僻地の一部族がシリウス星系で人間の肉眼には見えない部分に対し正確な知識を備えていた。しかもその部族はその知識をその星系から飛来した異星人から授けられたと信じている」。私たちは、デニケンの作り話を笑う前に、宇宙からかつて異星人がこの地球に飛来した可能性について先入主なしで考えるべきではなかろうか?

『世界不思議百科』

(コリン・ウィルソン 、ダモン・ウィルソン)(青土社)2007/2

<不気味な話>

・ 一方、UFOに関連してかなり不気味な話も伝えられ始めた。目撃者によると「政府の役人」が家に来て口を閉ざすように警告したという。たいていは黒い背広だが、軍服のこともあるらしい。政府の各省庁は、ぜんぜん心当たりがないと言明した。1953年、コネティカット州ブリッジボートのアルバート・K・ベンダーは、自分が主宰している国際空飛ぶ円盤協会を突然閉鎖した。目の大きい皮膚の浅黒い三人の男がやってきて、調査を打ち切るよう圧力をかけたとその根拠を述べた。ほとんどのUFOマニアが政府を非難した。しかし、その十年後にベンダーが出した本によると、かなり不気味な事情がからんでいたらしい。三人の男は彼のマンション内で自由に出現と退去ができるようだった。南極のUFOの基地に連行されたこともある。UFO現象に関心を抱くジャック・ヴァレという科学者は、妖精と「精霊」にかかわる中世の伝承とこの話には類似点があると述べている。

『世界不思議百科』

(コリン・ウィルソン 、ダモン・ウィルソン)(青土社)2007/2

<モスマンの黙示録>

・キールも妙な雰囲気を感じるようになった。ウェスト・バージニア州で、高速で飛ばす自動車と同じ速度で飛ぶことができる翼がある巨大な鳥男を目撃したという話があった。この調査を開始した頃、曖昧であるが自分に敵対感情を持っているらしい相手が彼の周囲にちらつき始めた。

・彼は『モスマンの予言』という著書で次のように書いている。「誰かが、どこかで私の動きすべてを承知していると私に思い知らせようとしていた。おそらく私の電話すべてに耳を傾けていた。私の通信手段さえ制御しようとした。彼らは、それに完全に成功した」。その相手は、多くの予言を彼に対して行った。マーティン・ルーサー・キング牧師の暗殺、ロバート・ケネディに対する襲撃、ローマ法王に対する刺殺未遂などである。しかし、多くの場合、現実の事件とは日付にずれがあった。キールは結論として次のように述べている。「我々の小さな惑星は、なにか別の4次元時空連続体の力または実在と相互貫入を現在経験しているらしい」。

 

<スカイ・ピープル>

・英国のUFO専門家であるプリンスレー・ル・ポア・トレンチ伯爵も独自の調査に基づいて似たような結論に到達する。彼はそれを著書『地球作戦』で次のように書いている。

・・・現在少なくとも正反対に相反する二つの実在の力が我々地球に関心を抱いている。一つは、実際の空の民スカイ・ピープルで、これは人類の記憶以前の時から我々の周囲にいる。もう一つは、この惑星固有の区域に住んでいる。人類の中には、彼らが地球の内部に住んでいると信ずるものもある。この二つの派の間では、明らかに『天の戦争』が戦われている。ただし、人類が通常想像するような意味の戦闘が戦われているわけではない。地球人類の精神の支配を目的にした心理的な競り合いである。

『世界不思議百科』

コリン・ウィルソン + ダモン・ウイルソン 青土社 2007/2

<歴史と文化の黒幕 神秘の人びと>

<ブラヴァツキー夫人の奇跡>

1883年の初頭、ロンドンで『密教』と題する本が出た。たちまち評判になり第二版に入った。著者はアルフレッド・パーシー・シネット。髪の毛が後退しかけた痩身小柄な人物で、インドでもっとも影響力のある新聞「パイオニア」の編集長である。まずセンセーションの対象となったのは、第一ページに麗々しく出ているシネットの序文である。同書の内容は、チベットの山中深く住みほとんど永遠の長寿の「隠れた聖者たち」から得たものという断り書きだ。インドにおける大英帝国の代弁者とみなされる新聞の編集長が出した本だ。そこいらの「オカルト」狂いと無視するわけにはいかない。

1880年の10月、シネット夫妻は評判のブラヴァツキー夫人を自宅に招待した。夫人は自分の知識の大部分は、ヒマラヤに住んでいる「隠れた聖者たち(隠れた首領)」から得たものだと彼に語った。

<生来の「霊媒」>

・生来の霊媒が存在するという前提を認めるとしよう。特殊な「魔力」を所有するか、またそれに所有されている霊媒だ。その前提に立てば、ブラヴァツキー夫人がその種の人間であることはまず疑いようがない。

<心霊は存在するのか>

・ブラヴァツキー夫人は、隠れた聖者たちという考え方の発明者ではない。これは、昔から「オカルト」に一貫した考え方である。

・オカルティストは、第一に比較的不完全な状態から、比較的高い肉体的および精神的状態へ進化の途中だという考え方を奉ずる。第二に、進化の過程のあらゆる段階は、この比較的高い状態へすでに達している「偉大なる知能者ヒエラルキー(階層)」により命令されるとオカルティストは考える。

<超能力と進化>

・ブラヴァツキー夫人は1891年に世を去るが、高度知能と接触したと信ずる「オカルティスト」(超自然現象に興味を持つ人という意味の広義)はその後も跡を絶たない。アリス・ベイリーは、ブラヴァツキー夫人の没後に神智学協会の有力メンバーになるが、シネットが言う「マハトマ」(「偉大な魂」の意)クート・フーミと接触したと自認する。神智学協会内の主導権争いにいや気がさした彼女は、1919年に別のグループを組織し、「ザ・ティベタン」(チベット人)という存在から口授されたと称する多くの書物を世に出した。

<洞察力あふれる哲学者の相貌>

・心霊調査協会の初期のメンバーの牧師ステイントン・モーゼスは、「自動筆記」の手段で、大量の筆記文書を残した。これは本人の没後、『心霊の教義』として出版される。モーゼスはこの抜粋を生前に『光明』という小冊子にまとめているが、自分の鉛筆を動かした心霊のなかには、プラトン、アリストテレス、旧約聖書のなかの予言者などと称するものがあると困惑を隠していない。

1963年のアメリカのことである。ジェイン・ロバーツと夫のロブはウィジャ盤で実験を始めた。「ペイシェンス・ワース」にある程度影響を受けた。さまざまな人格が身元を明かしてメッセージを伝えてきた。やがて身元を「セス」と明かした人格が登場し始める。

・「セス」は『セスの資料』、『セスは語る』などの題の多くの本を伝授し続けた。本はいずれも素晴らしい売れ行きを示した。ジョイン・ロバーツの無意識の心の一側面であれ、または本物の「心霊」であれ、セスが高いレベルの知能の所有者であることを、これらの書物はまぎれもなく示している。

<時代を越えて伝世されるオカルト教義>

20世紀のもっとも独創的な認識者の一人ゲオルギー・グルジェフは、青年時代の大半を「サームング修道会」というものの研究に捧げるが、後に世に出て、その基本教養を北ヒマラヤ山中の僧侶修道会から授かったと唱えた。

・しかし、グルジェフの高弟P・D・ウスペンスキーは著書『奇跡を求めて』で次のように述べる。「グルジェフの『精神現象的』教義の背景にはきわめて複雑な宇宙体系がある。これは教義そのものには明確な関連性を欠くもので、グルジェフ自身の独創によるものではないと考えられる」。

・この宇宙論をさらに詳述したものに、もう一人の高弟J・G・ベネットの4巻本の『劇的宇宙』がある。同著は次のような確信から出発する。「宇宙にはデミウルゴスという1クラスの宇宙要素がある。これが宇宙秩序の維持を司る。このデミウルゴス知能は、人間の生涯をはるかに超えた時間スケールに対して作用を及ぼす」(訳注:デミウルゴスはプラトンが世界の創造者と考えた概念で、キリスト教的グノーシス派もこの神を認めている)。

・デミウルゴスは、なにか新しくかつ生起原因のないものを世界のプロセスへ導き入れる点では、人間よりもはるかに大きな力を所有している。しかし、決して誤らないわけではない。デミウルゴスの主な仕事は「生命のない原初から世界の進化を導くこと」だが、「時には実験と試行を繰り返し、時には誤謬をおかして元に戻り、海から生命が発生して陸の動物が存在を開始すると前方への大跳躍を行なった」。ベネットは次のようにも付け加えている。「グルジェフ師はデミウルゴスを『天使』と呼んでいるが、この言葉には多くの連想があるので使用を避けることが望ましい」。

<文化の進展と地球の進化>

・あまたの世紀にわたって東方には不思議な言い伝えがある。どこか隠れた土地、中央アジアの高地地方と考えられているが、異常な力を所有する一群の人が存在しているという。この中心部は、少なくともある面では、世界の秘密政府として振る舞っている。

 

・この言い伝えの一部は十字軍時代に西方に伝えられている。1614年には薔薇十字団の装いで出現する。19世紀にはブラヴァツキー夫人とフランスの外交官ジャコリオによりヴァリエーションを加えて再登場する。英国では作家タルボット・マンディがこれに続き、最近では1918年のモンゴルの旅行家オッセンドウスキーがいる。

 

・この言い伝えの神秘の土地シャングリラでは、一部の人は、通常の人間の状況を越えて進化し、この惑星を越えた力の統治者として行為している。下のほうの階級は、東方でも西方でも、それと気づかれることとなく普通の人と混じりあって生活し、歴史の重要局面では必要な結果を得るために努力し、地球の進化全体を太陽系の事象と歩調が揃うよう維持している。

<「隠れた首領」という知能>

・「隠れた首領」という表現を初めて用いたのは『劇的宇宙』におけるベネットその人である。キャンベルはこの本のテーマを次のように要約している。

 人類の長い物語を書くのは、人間自身の知能よりもはるかに偉大な知能である・・・地球上のこのプロセスを司るのは、『隠れた首領』と呼ばれる知能である。これは、オカルト伝承では個体(たとえば、「統治者」、「古代者」など)として象徴されるレベルに対応する。また、これはデミウルゴスのレベルまたはそのすぐ下のレベルにも相当する。

 

・人類全体に対する行為と並行して、執行者およびその直属者は、個々の人間の意識レベルの向上に関する地域的な行為も司る。

 特に選ばれたこの種の普通人は、執行者の作業への参加資格を望むこともある。この資格認定のプロセスは、マグナム・オーパス、すなわち「大事業」である。これは進化全体の潮流に合わせた緩やかな上昇とは対照的な高レベルへの垂直的上昇である。

『世界史と西洋占星術』

ニコラス・キャンピオン  柏書房   2012/8/1

19世紀  神智学的啓蒙主義>

・アリス・ベイリーは、教会の日曜学校で教師をしていて、後に熱心な神智学者となった。彼女の関心の多くは、シュタイナーと共通するものである。彼女はまた、シュタイナーと同じ秘教主義のキリスト教徒であ

り、スコットランドからアメリカ合衆国に移った後、神智学協会でその名を知られるようになった。彼女は、やがて、ブラヴァツキー夫人に秘伝の教理を伝えたとされる「アセンションした指導者たち」なる神秘的な存在と、自分もコンタクトをとることができると主張し、それが一因で人々の反感を買うようになってしまう。ベイリー御用達のスピリチュアルな指導者(導師)とは、通称「チベット人」といわれ、占星術的な黙想や、その書き物の大半を彼女に口述筆記させる存在だった。

・しかしながら、ブラヴァツキーを研究することに一生を捧げ、ベイリーに語りかける導師たちのささやきをそれまで一言も聞いたことがなかった神智学者たちにとって、彼女の主張は、我慢ならないものだった。そこで、ベイリーは、潔く静かに協会から離れ、今度はアルカン学派という新学派を、自ら始めたのだった。その出身者には、著名なイタリアの精神科医で、精神統合の礎を築いたロベルト・アサジリオ(18881974)や、20世紀もっとも大きな影響を与えたアメリカの占星術師、ディーン・ルディア(18951985)がいる。

・ベイリーの占星術も、シュタイナーに匹敵するくらい独特である。例えばそれは、月を「死んでいる」ととらえ、何の有効性も見出さない。また、「ヴァルカン」のような、実在しない架空の惑星の存在を前提とし、霊的な存在の水準を示す「レイ(光線)」をもちいる。彼女の占星術は、その厳密さゆえ、それを受け継ぐ者はほとんどいなかった。こうした彼女の占星学よりも重要なのは、彼女が、水瓶座時代――そして、ニュ―エイジ――の本質、そして、それが切迫したものであることを、繰り返し雄弁に説明し続けたことによってもたらされた、占星術世界全体への影響である。

・ベイリーは、シュタイナーと同じく、地球規模の危機が目前に迫っている、というような、終末論的な占星術の考え方に深く傾倒していた。そして、「水瓶座」の同義語として「ニューエイジ」という言葉が人口に膾炙するようになったのは、彼女のお蔭である。彼女にとって「水瓶座時代」と「ニューエイジ」というふたつの言葉の概念は、同一のものだった。

・春分に、水瓶座の星座の星から太陽が昇り――それは20世紀の終わり頃だろうと彼女は考えていた――ニューエイジ(新しい時代)が幕開ける。そうして、世界は、純粋なる霊へと回帰し始めるのだ。彼女は、心からそう信じていた。彼女はいつもの漠然とした調子でこう書いている。「人類が、その《意志をひとつにすること》によって、世界の状況に決定的な影響を与える時が刻々と迫っています。このことは、進化の過程が成功し、精神が開花することの帰結なのです」と。

『トランス・ヒマラヤ密教入門』3巻 意識の変化

アリス・A・ベイリー   (アルテ)  2008/9

<ディヴァチャン(天国)>

・ディヴァチャン。低位様相からの分離に後に魂が入る、二つの地上生活の合間の中間状態。

・濃密な肉体とエーテル体から完全に分離した瞬間から、そして過去の過程が始まったとき、人は過去と現在を認識している。また、除去が完了した魂との接触が生じ、マナス媒体が崩壊するとき、人は直ちに未来を認識する。なぜなら、予言能力は魂意識の財産であり。人間は一時的にこの財産を共有するからである。したがって、過去と現在と未来は一つのものとして見られる。「永遠の今」の認識が、転生から転生へと連結する再生誕の過程の間に徐々に発達する。これがディヴァチャンと呼ぶことができる(進歩した人間の正常な状態を特徴づける)意識状態である。

<敷居の住者>

・弟子が生命の門に近づくまで、敷居の住者がイリュージョンとグラマーの霧の中から現われることはない。弟子がイニシエーションの入口の微かなきらめきとその扉の側で待ち構える臨在の天使に体現される二重性の原理を把握できるようになる。現在のところ、私の言葉はあなた方にとって将来の状態と出来事を象徴的に表現しているだけであるが、右側に天使、左側に住者で表わされる相反する対をなすものの象徴の間に完全に意識して立つ日が必ず訪れる。そのときに、あなた方の人生の場が長きにわたって戦ってきたこの二人の対立者の間を真っ直ぐに突き進む強さがあなた方に与えられますように。そして、この二人が一人として見られる臨在へと入り、生命と神性しか知らなくなりますように。

『「宇宙人と地球」の超真相!』 

工学博士 深野一幸  (徳間書店)   1997/10

<オスカー・マゴッチの「深宇宙探訪記」の分析(宇宙の霊的存在)>

・「宇宙の霊的存在」 肉体を持たない様々な意識体(霊的生命体)を、マゴッチの情報で分類してみると。

1、 ガーディアン(守護神)―昔、人間であったが、霊的に進化し、霊的存在となった。人間世界の指導をしている。

2、 アセンディド・マスター(高級教師)ガーディアンより、さらに進化した霊的存在の生命体。7人存在し、7色の虹のように輝いている。第7密度であり。7次元にいる。

3、 創造主(偉大な潜在界)さらに上位には、金白色のとてつもなく大きな光で全てを包含する存在がある。グレート・マニフェスト(偉大な潜在界)と呼ばれている。神・宇宙意識などとも呼ばれる。

4、 コズミック・トラベラー(宇宙の旅人)-ガーディアン委員会の下で、ガーディアン委員会の特命事項を遂行する宇宙人。ガーディアン委員会の代理人であり、実行部隊の隊長である。5次元(第5等級)に存在する。肉体を持った人間になったり、目に見えない透明な人間になったりすることができる。宇宙人のクェンチンは、コズミック・トラベラーの一人である。

・その下に肉体を持ち進化した宇宙人(人間)がいる。肉体を持つが、地球人の目には見えない。3次元及び4次元に住む。地球人は、波動が低い3次元世界に住む。霊的に向上すると波動が上がり、レベルが上がる仕組みになっている。


[PR]
by karasusan | 2017-02-26 22:48 | その他 | Comments(0)