人気ブログランキング | 話題のタグを見る

北朝鮮はアメリカに対して本格的な核攻撃を開始するかもしれない。そうなれば北アメリカでは5000万人の死者と2500万人から5000万人の負傷者が出る。(1)

2030年ジャック・アタリの未来予測』

不確実な世の中をサバイブせよ!

ジャック・アタリ   プレジデント社  2017/8/9

本書の意味する明後日は2030

・本書は、執筆時の世界状況を分析し、そこから見えてくる15年後の2030年の世界像を複眼的に予測し、最悪を避け、最善を目指すための道筋を克明に述べている。

<「起きることがない」>

・「起きることがない」と決めつけても、どんなことだって起こりうる。そうした最悪の事態を予測することこそが、最悪を回避する最善の手段なのだ。

いずれにせよ、2030年までに破局にいたるのは間違いない人々の運命を同化させる津波のような破局が訪れるのだ。大金持ちや大権力者であろうと、この破局からは誰も逃れられない。避けることのできた惨事に涙を流しながら廃墟の中で新たな社会を築くことになる前に、われわれにはやるべきことがある。

・自分の幸福は他者の幸福に左右されると肝に銘じてほしい。より一般的にいえば、自分の幸福は、世の中のあり方と行方に依存するのである。そして自分自身および他者のために行動する勇気を、他者の幸福から導き出すのだ。

 世界の行方は、各自が自分自身になれるかどうかにかかっているのである。

世界中で怒りが爆発

・こうした入り組んだ状況では、経済と政治の当事者は相互依存を強めるため、法の支配は脆弱になる。すなわち、経済の利己主義と政治の無分別により、すべての長期的な課題は顧みられず、他者の幸福を願うという利他主義の効用は理解されない。

激化する軍拡競争

・中国は、240発の核弾頭、75発の大陸間弾道ミサイル、60発の潜水艦発射弾道ミサイル、56隻の弾道ミサイル潜水艦を保有する。

 2030年の中国の軍事予算は、アメリカと同程度になるだろう。

・インドは、少なくとも100発の核弾道、25発の大陸間弾道ミサイルも保有する。

北朝鮮は、2016年の時点では610発の核弾頭しかもっていないが、2020年までに100発の核兵器を保有する。

 北朝鮮の弾道ミサイルには、従来型の火薬、化学兵器、生物兵器、さらには核弾道が搭載される。北朝鮮は、アラスカまで到達可能なミサイルに搭載できる小型の水爆も開発するだろう。

 北朝鮮のこうした脅威に対し、日本も韓国も核開発を進める

 韓国は、有事の際に北朝鮮が行動を起こす前に北朝鮮の弾道ミサイル発射基地を攻撃するためのシステムをつくりあげる。これは迎撃ミサイル・システムを兼ねる。

経済と金融の世界的危機を引き起こす6つの火種

・前章で叙述し、そしてこの章で紹介した実証データが示すように、市場やイノベーションだけでは、生産手段がすべて利用される安定的な均衡状態はつくり出せない。また、政府ならびに民間の債務を一掃することもできないだろう。

1、中国では、不動産部門、公営企業、規制の対象外の金融業者の借金バブルがはじける。すると株式市場が暴落し、人民元が大幅に切り下げられ、世界の為替市場は危機に陥る。当然の結果として、クーデターが勃発する。最悪の場合では、中国は国境を封鎖し、保護主義という大波を引き起こす。中国の製造業は崩壊し、これが1次産品の価格を急落させる。そうなれば、世界経済は危機に陥る。

2、保護主義の激化によって危機が発生する。競争と不況に直面し、保護主義と国家主権主義に閉じこもる国が増える。とくにEUとアメリカは、アジア地域からの輸入品や、メキシコ、中東、サヘル地域からの移民が大量に押し寄せるという恐怖心から、国境を閉じてしまおうという誘惑に駆られる。こうした傾向が顕著になれば、国際貿易は大きな危機を迎え、世界経済は崩壊する。

3、ヨーロッパの危機は、次のように展開する。イタリアやドイツの銀行システムが崩壊する、あるいはユーロ圏の国が自国通貨への回帰を問う国民投票を行なうため、それらの国から預金が流出する。この危機もヨーロッパだけにとどまらず、すぐに世界全体に波及する。

4、国の巨額債務バブルの崩壊は、中央銀行が大量に供給する調達コストがほぼゼロの流動性によって引き起こされる。いずれにせよ、巨額の債務は維持できなくなり、金利と物価は急上昇する。とくに日本が抱えるリスクは著しく高い。その理由は、日本はすでにマネタイゼーション(日銀の国債買い入れ)を積極的に行なっているからであり、また、人口に占める退職者の割合が増えるため、今後5年の財政収支は赤字で推移するからだ。日本の危機により、日本円の価値は大幅に下落する。円暴落は、すべての政府の資産クラスに影響をおよぼし、現金やゴールドへの逃避が加速し、世界経済は崩壊する。

5、アメリカの金融危機は、アメリカ企業を含む企業に対してきわめて投機的なポジションで投資するシャドー・バンキング・システムの主要プレーヤーの破綻によって引き起こされる。この破綻によってアメリカの金融システムは崩壊し、未曽有の世界的な危機が発生する

6、原油価格に絡む危機は、テロ集団や海賊、さらには原油価格を1バレル当たり100ドル以上で推移させようと企む国が、ホルムズ海峡やマラッカ海峡を閉鎖することによって勃発する。この危機も世界経済に壊滅的な影響をおよぼす。

それら6つの火種のどれかが危機を引き起こす可能性は日増しに高まるがこうした地域規模の危機が一体どのくらいの被害をおよぼすのかは、誰にもわからない。いずれにせよ、この危機により、少なくとも10年間は不況やデフレに見舞われる。世界人口の大部分は生活レベルの停滞ないし低下を余儀なくされる。とくに、中産階級の生活レベルの低下は、政治と軍事に壊滅的な影響をおよぼす。民主主義はそうした影響に耐えられない。

世界大戦を勃発させる6つの起爆剤

  1. 東・南シナ海での危機

この地域に位置する国々からさまざまな危機が発生する恐れがある

 中国の現体制(一党制支配の世界最長記録になるかもしれない)は、2022年に人口規模で追い抜かれるインドとの競争に脅威を感じる。中国の隣国(ベトナム、マレーシア、フィリピン、ブルネイ)は、中国が南沙諸島に人工島を建設していると主張するように、中国は世界最大勢力の座を早急に手に入れるために、尖閣諸島などがある日本の領海に人工島をつくるなど、挑発的な行動に出る。

 アメリカは日本を支援する一方、中国は北朝鮮を支援する。北朝鮮はアメリカに対して本格的な核攻撃を開始するかもしれない。そうなれば北アメリカでは5000万人の死者と2500万人から5000万人の負傷者が出る。北アメリカの人口の50%は、核爆発の際に被爆する。農地の40%以上は残留放射線の被害を受け、アメリカの発電所の3分の1は破壊される。その場合、この核攻撃を受けた生存者の寿命と生活の質は、中世の時代の人々と似たようなものになるだろう。

北朝鮮は核兵器を使って日本も攻撃しようとする。そうなれば戦争になり、日本の同盟国であるアメリカも参戦する。アメリカはすでにグアムの軍事基地に北朝鮮の大陸間弾道ミサイルに対する防衛システムも配慮している。

 また、北朝鮮は韓国も占領しようとするだろう。そうなれば、北朝鮮とアメリカの戦争が始まる。アメリカは、国境沿いの非武装地帯に28000人、日本とグアム駐留基地に4万人の兵士を有する。こうして世界戦争が勃発する。中国が関与する危機の別のシナリオとして、中国とインドが大河川の水資源の管理をめぐって衝突することが考えられる。

2ロシアの人口は減少し、高齢化する。イスラーム系国民がロシア人口の10%に達し、極東地域では中国系国民が多数派になる。潜在的な敵に囲まれるロシアは、率先して、あるいは脅威を感じる反応として、孤立状態を打ち破り、この包囲網を突破しようとする。

 まず、ロシアはシベリアの管理をめぐって中国と衝突する。シベリアは温暖化の進行によってまもなく肥沃な大地になる。ロシアはクリミアとウクライナ東部の独立派の拠点地域を結ぶ細長い一帯を、またしても占領するだろう。アメリカとヨーロッパは、ロシアのこうした侵略を思いとどまらせるためにウクライナへの支援を強化する。ウクライナに武器を供与し、北大西洋条約機構(NATO)にウクライナを加盟させることを検討する。アメリカとヨーロッパのこうした動きを開戦事由と解釈するロシア政府は、アメリカに向けて先制攻撃を仕掛ける。

ロシアがバルト3国に侵攻すれば、エストニアはサイバーアタックを仕掛け、バルト3国全体が反撃に出る。そうなればおそらくNATOが介入し、ついには世界大戦へといたる。

・ベラルーシが西側ヨーロッパ陣営につくなら、ロシアは、ベラルーシを奪回しなければならないし、それは可能だと考えるに違いない。これもNATO加盟国との戦争になる。

・最後に、ロシアとトルコとの間での危機だ。この危機は、シリアでの紛争やイスラーム国との戦いですでに疲弊した地域を荒廃させる。トルコはNATOの加盟国なので、トルコとロシアの戦争は、地球規模の紛争の引き金を引くことになりかねない。

3、パキスタンの核戦略

・パキスタン出身のテロ集団がインドに攻撃を仕掛けるのであれば、インドの精鋭部隊は従来型の攻撃を開始し、国境近くに位置する核弾頭が格納してあるパキスタンの軍事基地を掌握しようとする。そうなれば、パキスタンはインド軍の侵攻を食い止めるために、自国の戦術核兵器を利用する武力攻撃を決断する。一方、インドは、「戦術的利用」と徹底的な破壊を目的とする戦略的利用を区別せず、核兵器による全面的な攻撃に出る。この戦争によっても世界規模の核戦争が勃発する恐れがある。

4中東の危機

 中東の危機にはいくつかのシナリオが考えられる

 まず、シリア発の危機を語る。シリア政権は、2030年以前に崩壊する恐れがある。シリア政権が崩壊すれば、イラン政権は強化され、レバノンで内戦が起き、パレスチナはイスラエルを追い出そうとする。そうなれば、イスラエルは、アパルトヘイト時代の南アフリカ共和国のような国になるが、パレスチナによる核攻撃を受けるかである

・次にサウジアラビア発の危機について語る。イスラーム原理主義者たちがサウジアラビアの政権を握れば、オイル・マネーはテロリストを支援するために利用される。世界の原油価格は急騰するだろう。そうなれば、西側諸国は大きな危機を迎え、世界大戦が勃発する。

<「エジプトを再び戦争に導く唯一の要因は水だ」>

・最後に、エジプト政権がイスラーム原理主義あるいは軍部の手中に落ちると、この地域で新たな戦争が起きる。また、エジプトは水不足のために行動を起こすかもしれない。

5サヘル地域とアフリカの角[ソマリア全域とエチオピアの一部]における危機

2030、サヘル地域の国々とアフリカの9つの破綻国家(アフリカの角、アフリカ大湖地域、マリ、二ジュール)の混乱は先ほど述べた。それらの混乱は世界中に影響をおよぼす。コートジボワールからケニア、そして二ジュールからエチオピアと、アフリカ全土でテロ組織の活動が活発化する。

6、イスラーム国

・イスラーム国の戦略は、自分たちの影響力を拡大するために、一度は占領したが失ったイラクとシリアの領土の一部を、おもに非組織的な戦闘員を使って再び占領することと同時に、民主主義を動揺させ、民主主義国家が外国人を締め出すように仕向けることだ。

<異常事態>

・人類を全滅させる大惨事は他にもたくさんある。それらは2030年以前に明かになるだろう。たとえば、数十億人の人々が水不足に襲われる、大勢の人々が命を落とすまで治療法のわからない新型ウイルスが発生する、地球温暖化が予想を上回る速度で進行する、遺伝子工学の実験室で取り返しのつかない失敗が起きる、人工知能が人類を消滅させる決定を下す、狂った武器商人が(政府あるいは民間の)顧客に掘り出し物の兵器を使うようにそそのかすなどだ。2030年までにこれらの異常事態のいくつかが起きるかもしれない。そうなれば20世紀に2度起きた世界大戦が再び勃発する恐れがある。

 そのような戦争は、核兵器、生物兵器、化学兵器など、利用できるものなら何でも利用する。よって、アメリカ、中国、インド、日本、アフリカで数億人の死者が出るだろう。とくにヨーロッパでは、1000年前からつくり上げられた人類の遺産が破壊される。

 今日、起きているあらゆることが、世界をこうした危機に導いているのは明らかだ。

 危機が迫っていると自覚することが絶対に必要だ。そうした自覚こそが、危機を回避するための唯一の方法なのだ。

自分自身に働きかける

・集団の活動に大きな変化が必要な際には、すべては必ず個人が変わることから始まる。個人の内面が変わらなければならないのだ。自分自身に働きかけるとは、世界がまだ暮らせる場所であるようにするために、世界に働きかける心構えをもつことである。このようにして、自分自身に働きかけること自体が、世界に対して行動を起こすことだと気づくはずだ。

  1. 自分の死は不可避だと自覚せよ

  2. 自己を尊重しろ、自分自身のことを真剣に考えろ

  3. 変わらない自分を見つけろ

  4. 他者が行おうとすること、そして世界の行方について、絶えず熟考しながら自分自身の意見をまとめろ

  5. 自分の幸福は他者の幸福に依存していることを自覚せよ

  6. 複数の人生を同時かつ継続的に送る準備をせよ

  7. 危機、脅威、落胆、批判、失敗に対する抵抗力をつけろ

  8. 不可能なことはないと思え

  9. 実行に移す

  10. 最期に、世界のためにも行動する準備をせよ

世界のために行動を起こす

・世界を変革するために行動を起こそうとしても無駄に終わると思うかもしれない。たしかに、意を決した大勢の利他主義者たちが一致団結しなければならない。

  1. 学校や法律の教科書など、いたるところに、利他主義、寛容な精神、誠実さを養うための学習を取り入れろ

  2. 国連総会のもとに、次の3つの機関を設立せよ。

1つめは、世界の現実を把握するために組織改革された安全保障理事会だ。

2つめは、世界中の30歳未満の若者をメンバーとする次世代議会だ。

3つめは、世界環境裁判所だ。

  1. 世界的な紛争が勃発するリスクと闘え。

  2. 法の支配と暴力を抑制する合法的な手段を強化せよ。とくに、女性や子供に対する暴力を撲滅するのだ。

  3. 世界経済の連携を組織せよ。

  4. 世界通貨を導入せよ。

  5. 小規模農家の農地を守るために、農地に関する所有権を世界的に強化せよ。

  6. 積極的な経済を推進するための世界的な基金を創設せよ。

  7. 新たな技術進歩を世界中の人々が利用できるように支援せよ。

  8. 最後に、今までに述べたことに対する取り組みの進行状況を、企業、都市、地域、国、世界という単位で、客観的な指標を用いて計測せよ。

<サバイバル計画>

このサバイバル計画において、フランスが自分たちの役割を担うために実行すべき10の提案を掲げる。それら10の提案は、きわめて当然ながら「自分自身になる」という各自の欲求と、そのために必要な手段から生じる。

  1. 自分自身になる各自の手段を強化せよ。すべての地区の保育所と小学校の整備率を上昇させろ。それは脱宗教の国であるフランス共和国への社会統合を成功に導く最短距離である。

  2. 教育システムを改革せよ。技術、知識、哲学、倫理などの教育を、誰もが生涯を通じて学べるようにするのだ。一人の落後者も放置してはいけない。したがって、失業者には職業訓練を施し、ホームレスの人には社会復帰の機会を提供するのだ。

  3. 職業人としての最終条件を均等化せよ。退職後の第2の人生を、教えることをはじめとする他者のための活動に費やせるようにするのだ。

  4. 利他的に行動するための手段を大幅に強化せよ。国民全員が、NGO、団体、組合、政党に参加するための時間と手段を自由に使えるようにするのだ。

  5. 世界のための計画をフランスの外交方針にせよ。

  6. とくに、EUを合理的利他主義のモデルにするのだ。そのためには、国境および国内の警備、共通の防衛、ヨーロッパのベーシックインカム、共通の社会政策などを施行することによって、ヨーロッパ法を補完するのだ。そしてフランス語圏を強化せよ。フランス語圏に法の支配を根づかせ、フランス語圏の利益になる利他的な活動を支援するのだ。とくに、サヘル地域の国々における秩序を修復するための活動を援助すべきだ。これらの国々がもたらす、そして蒙る危機がいかに危険であるかは前述の通りだ。

  7. 長期的な視野に再び意義を見出せ。フランス大統領の任期は7年の1期のみとし[現状は、15年で連続2期まで]抽選で選ばれる30歳未満の若者がメンバーになる次世代議会を創設するのだ

  8. 健康管理を最優先の課題にせよ。社会保障体制を充実させるだけでなく、学校や職場において正しい食生活やスポーツに関する啓発活動を実施するのだ。とくに土壌を守り、大気汚染を解消せよ。

  9. 軍隊、司法、警察に国民全員の安全を守るための手段を付与せよ。一方、就労年齢にある国民は、それらの機関に一時的に奉仕するものとする。

  10. 次世代の負担にならないようにするために、公的債務を大幅に削減せよ。

読者は、これらのことを実現不可能だと思うかもしれない。いずれにせよ、それは政治ゲームに興じる政治家たちの懸念からかけ離れている。彼らの活動は、瀕死の民主主義の当事者たちが演じる冴えない喜劇にすぎない。

 われわれは、瀕死の民主主義をサバイバルさせるためにこれらすべてを行なうのだ。それは可能である。

2035年の世界』

高城剛   PHP    2014/10/23

超健康……将来、人類の平均寿命は140歳に

・最上級の完璧な健康を指す。「ダイナミックヘルス」ともいう。超健康状態になると、人間の身体は150歳まで持つ。アンチエイジングをしなくても自然に若さが保たれて、2050年には90歳の美魔女も登場する。

<ボディ・エリア・ネットワーク…医療費削減の切り札>

・自分の生体情報をリアルタイムで管理するネットワーク。体内に埋め込まれたデバイスが、心拍数や血糖値といった生体情報を計測して外部に送信。異常値が計測されると、医者が診察にきてくれる。さらに薬事ロボットと連携して、異常が発見されると体内で自動的に治療する。

<薬事ロボット……人の体内で働くロボット>

・体内で診察や治療を行ってくれる超小型ロボット。2014年段階で実用化されているものに、口から飲み込んで胃や腸を撮影してくれるカプセル内視鏡がある。10年後はさらに進化して、患部まで移動して薬を撒き、注射を打つロボットも登場する。

<リキッド化……フラット化する世界の次は?>

・世界はフラット化した後、リキッド化へと向かう。リキッド化は、水のごとく流動的で、緩やかに動き続ける状態を指す。たとえばある地域が国から離れたり、そうした地域同士がくっついてユニットを組んだりする。それも固定的なものではなく、絶えず離合集散を繰り返す。

<スマートパワー……日本が発揮すべきパワーとは?>

・アメリカの政治学者ジョセフ・ナイが提唱する概念で、軍事力に代表されるハードパワーと、外交や文化といったソフトパワーの2つを組み合わせて、他国に影響力を与える戦略のこと。最近の日本はハードパワーに軸足を移していて、スマートパワーをうまく使いこなせていない。

世界政府vs.イギリス金融機関……ウォール街を牛耳るのは誰か?

・タックスヘイブンを利用した企業の租税回避行動が問題になっている。この問題を解決するために、世界統一ルールにはじまり、その後世界統一政府をつくろうという動きが起きるだろう。それに抗うのは、世界の金融を実質的に握るイギリス。20世紀の東西冷戦と違い、21世紀は世界政府とイギリス金融機関との冷戦になる。

<成長しない世界……米国の最後の砦「インテレクチュアル・プロパティ」とは>

・米国はマイノリティがメジャーとなり、そうなると共和党は二度と政権を取れないことになり、民主党国家=大きな政府を維持せざるをえない。

 しかし、そのような財政はない。だから、どこかで一度リセットを考える必要が必ず生まれる。その前には、リベラルと保守の拮抗が崩れ、弱体化した保守の反撃する事態が起きることになる。時には大きな内戦や戦争が起きる可能性も否めない。これらは、成長できない大国アメリカの大混乱を意味する。また、イスラム人口がキリスト教を抜くのも時間の問題だ。すなわち、「成長」を前提にした西洋社会の価値観が大きく揺らぐことになる。典型的国家が米国だ。

 そんな混乱時の米国最大の逆転的資産とは、なんであろうか?それは、インテレクチュアル・プロパティ(知的財産)に他ならない。インテレクチュアル・プロパティは、軍備なき世界の国力そのものであり、ロボットが働いてもお金が入る仕組みからして、百年の計で見れば米国はふたたび日の目を見る日がやってくる。それは、ロボット・ルネッサンスと呼ばれるだろう。

老国家……成熟せずに年を重ねる日本と中国

・国として高齢期に入り、活力を失った国家を指す。人口がピークアウトしていて、国民の平均年齢が高い。経済は低成長、もしくはマイナス成長。歴史はあっても、必ずしも成熟度が高いわけではない。

・日本は、すでに老国家だ。現在、日本国民の平均年齢(中央値)は、45.8歳。今回、オリンピック招致でライバルとなったトルコは29.2歳で、日本より15歳以上若い。アフリカのケニアにいたっては18.9歳で、20歳を切っている。これらの国々と比べると、日本に残された成長の余地はとても小さい。

 もっとも、国の老化は日本だけの現象ではない。ヨーロッパの国々も平均年齢は軒並み40代だ。成長著しい中国も2020年には生産人口がピークアウトして、老化現象が始まっていく。2035年には、大国と呼ばれる国の多くが老大国になっているだろう。

アジアの時代は続く……世界のGDPの6割がアジアに

・アジアの時代といわれて久しいが、21世紀前半にはアジアの成長が本格化する。2035年には、世界のGDPの6割以上がアジアになる。牽引するのは中国、インド、ASEAN諸国。日本は蚊帳の外に置かれる可能性が高い。

<イスラムパワー……世界の勢力図を塗り替える宗教の力>

・ヨーロッパのイスラム系住民の出生率は、ヨーロッパ人の48倍もある。人数が増えれば国家のイスラム化が進み、民主主義とはなにかを考えはじめることになり、国際舞台でもイスラムの発言力が増すことになる。欧米を中心とした世界秩序にイスラムが割って入り、いま世界をリードしている西洋的価値観も揺らぎ始める。

<ビジブルマイノリティ……膨張し続ける「少数派」>

・カナダで有色人種を差す表現。ただし、すでに北米では有色人種がマイノリティ(少数派)ではなく、都市によっては過半数になっている。とくにスパニッシュ系住民になっているはずだ。

・LAでは、すでに生まれてくる子どもの過半数がスパニッシュだ。2035年には、イーストLAは完全にスパニッシュの街になっているだろうし、アメリカ全体でも人口の3分の1をスパニッシュが占めるようになっているだろう。民主主義が正しければ、2035年までには、スパニッシュ系の初の米国大統領も誕生しているだろう。すでに、スペインが発行するスペイン語新聞「EL PAIS」の発行部数は、本国より米国のほうが多い。

 アングロサクソン系のアメリカ人にしたら、自分の国が乗っ取られるような感覚がするだろうし、一部では右傾化が進むだろう。ただ、アメリカはスパニッシュ系住民増加の恩恵も受けている。日本はすでに人口減少時代に入ったし、中国もまもなく生産人口がピークアウトする。しかし、アメリカはスパニッシュ系住民を中心とした移民の増加で人口が増え続け、2035年には4億人に達する見込みだ。成長しきったはずのアメリカ経済にのびしろを与えているのは、スパニッシュなのだ。

<移民排斥運動……スイス、フランス、ドイツ……避けられない文化の衝突>

・移民が流入すると、そこで移民が独自のコミュニティを形成して、本来その地に住んでいた住民と衝突する。ヨーロッパではイスラム系やアフリカ系の移民が増えていて、排斥の動きも出てきた。移民が増えるにつれて衝突も増えていくことは避けられない。これは歴史の教えだ。

<スイス、フランスの原発停止……原発を停められない本当の理由>

・スイスは2034年にすべての原発を停止する。原発大国であるフランスも脱原発に舵を切り、おそらく2040年代には停止させる。きっかけは福島の事故だが、背景には自然エネルギー技術の進歩がある。

<ハードリセット……今後日本で経済恐慌か戦争が起きる!?

・行き詰った状況を打破するために、これまで積み上げてきた者を破壊してゼロの状態からやり直すこと。国家レベルでいえば、戦争や経済破綻によるハードリセットが考えられる。

・今後20年の間に、日本はなんらかのハードリセットを経験するだろう。日本が抱えている閉塞状況は、先延ばしできる限り先延ばしされ、結果ハードリセットを迎えなければ解決できない状態に陥っているからだ。債権大国(対外純資産残高は世界1位)というが、戻ってこない債権なら話にならないし、金融ルールは、いつも一夜にして変わることになる。

・かつては世界もハードリセットを繰り返してきた。20世紀初頭、経済の中心がヨーロッパから新大陸アメリカへと移り、ヨーロッパの景気は冷え込んだ。その後にヨーロッパ発で起きたのが、第1次世界大戦というハードリセットだった。

・いまはインタ―ネットで情報が簡単に取得できる時代になり、機関投資家はもちろん、これまで投資に興味がなかった個人まで気軽に株を買っている。2014年現在、事実上政府が紙幣を増刷し、あらゆる手段を講じて株価を支えているので景気は一見よく見えるが、実際は、世界恐慌直前のラジオが普及した当時と酷似しているデータが次々とあがっている。

 この先、何らかの形でハードリセットは起きるだろう。それは歴史の必然だからである。

人生100年時代における「第二の人生」……いかに死ぬか、それが問題だ

・人生100年時代に入ると、60歳でリタイアするという現在の常識が崩壊して、第二の人生をどう生きるのかということが社会問題化する。好奇心を持って最期まで輝く人生を送るのか、人生に退屈して暇を持て余しながら過ごすのか。それによって第二の人生に大きな格差が生じるだろう。

・平均寿命が82歳のいまでも、すでにリタイアした人たちは暇を持て余している。これが人生100年時代に入ったらどうなるのか。おそらく第二の人生の過ごし方が、いまよりもっと深刻な社会問題になるだろう。

 ただ、裏を返せば、人生100年時代は、人生を従来の2回分楽しめる時代だといえる。僕が思うに、まずリタイアという概念がなくなる60代で会社を定年退職してもまだピンピンしているのだから、おそらくその年齢から起業したり就職し直す人が激増する。国も年金を払いたくないから、その流れを後押しする。そうした国の思惑はともかく、身体が元気で寿命も長いLED型になるのだから、必然的にそうなっていく。

もちろん同じ第二の人生を送るにしても、生活のためや暇だから仕方がなく働く人と、好奇心を持ってアクティブに動く人では充実感が違うのは、言うまでもない。

水戦争……人類は皆、足りないものを奪い合う

・世界の水不足は深刻で、将来は石油などのエネルギー資源より貴重な資源になる可能性がある。そうなると、水資源を巡る紛争が続出する。もっとも危険なのは、ヒマラヤ水系をめぐる中国とインドの争いだ。すでに小競り合いが始まっているが、両国とも多くの人口を抱えているため、一歩も引く様子がない。

・戦争には、資源の争奪戦という側面がある。過去には石油をめぐって仕掛けられた戦争も多かった。では、21世紀に各国が血眼になって奪い合う資源とは何か。それは「水」である。

 日本は水資源に恵まれているのでピンとこないかもしれないが、世界は砂漠化や人口増の影響で深刻な水不足に陥っている。地球上にある水で、飲めるのはわずか3%しかいない。そのうちの約4割はブラジルとアルゼンチンにある。つまり残りの約2%の水を世界各国で奪い合っている状況だ。

・そして、中国とインドの間には豊富な水源がある。ヒマラヤ山脈を水源とする水系だ。両国はいまこの水系を奪い合っていて、小競り合いが起きている。今後、水不足が深刻化すれば一気に火を噴く可能性もある。

一方、世界的な水不足は、日本にとってチャンスでもある。じつは水道水をそのまま飲める国は世界で5カ国しかない。その中に日本が入っているのは、浄水技術が優れているからだ。日本の水道インフラ輸出は、産業として十分に期待できる。2014年現在の日本は、原発を世界に売りたいようだが、それよりずっと将来性が高いのは、こちらだと思う。

<フラッキング……シェールガスがもたらす負の未来>

・アメリカではシェールガスをどちらかというとネガティブに表現するとき、「フラッキング」という。水圧で岩を割る採掘方法(ハイドロ・フラッキング)から転じた呼び方だが、この採掘方法は問題が多く、採掘現場周辺では観測史上最大の地震が頻発したり、深刻な地下水汚染が報告されている。シェールガス革命の未来は、けっして明るいばかりではない。

・シェールガスの採掘が可能になり、世界最大のエネルギー輸入国だったアメリカは、近いうちに輸出国になる。まさにシェールガス革命と呼ぶにふさわしい大変化だ。 

 しかし、このまま順調にいくかは不透明だ。シェールガスの掘削によって、周辺環境が激変しているからだ。

大地震が起きる日……マグニチュード7というリスク

首都圏では、今後30年以内に70%の確率でマグニチュード7の地震が起きる。東京は自然災害リスク指数も世界1位。こうしたリスクもあり、首都圏以外に拠点を置いて二重生活をする人が増えている。人気ナンバーワンは山梨県だ。

・今後30年の間に、首都圏でマグニチュード7クラスの直下型地震が起きる確率は70%と言われている。政府の中央防災会議の試算によると、死者は最悪で23000人。東日本大震災クラスの災害が首都圏を襲う確率は高い。

・自然災害の危険性については、自然災害リスク指数というものもミュンヘン再保険会社から発表されている。この指数は地震や津波、台風の発生危険度から算出され、それに住宅密集度や危険にさらされる経済価値などをあわせて数値化しているが、それによると、世界1位は東京で、指数は710.23区内に限れば、さらに危険度が増す。ちなみにロンドンの指数は30で、ニューヨークは42と、東京と比べ、遥かに低い。東京の自然災害リスクが、いかに突出しているかがわかるだろう。

小惑星アポフィス……原爆34000発分の衝撃

2004年に発見された小惑星アポフィスは、その後の観測の結果、2029年と2036年に地球に接近することがわかった。いずれも衝突は避けられる見込みだ。ただし、2036年以降は不明。2042年から2105年にかけて17回最接近するが、このときの軌道はまだわかっていない。


by karasusan | 2017-12-05 08:56 | その他 | Comments(0)