2018年 03月 23日 ( 3 )
『絶望の大国、中国の真実』
日本人は中国人のことを何も分かっていない!
宮崎正弘 + 石平 ワック 2009年5月8日
<汚職専門集団化した共産党の細胞>
<軍の暴走という悪夢>
宮崎;結局、中国の政治と言うのは党の細胞があるだけであって、行政がないからなんです。あるのは党と軍なんです。
石;みんな中国政府、中国政府という。あれがほんとに政府であるとは思えない。政府は全部党の出張機関みたいな有様です。
宮崎;このように行政っていうのは飾りなんですね。国務院っていうのは、中国における政府で、国務院総理というのは日本でいう総理大臣ですが、温家宝よりも偉い人が山盛りいて、じゃあ、温家宝は中央の権力の中でいったい何番目なんだと、こういうことですよね。行政より党細胞が優先するという話です。
石;大学でもそうです。大学でいちばん偉いのは学長先生ですが、いちばん偉いのは共産党の細胞。
石;要するに党がすべての利権を手にいれている。すべて利権を手に入れてみんないっせいに汚職する。しかも党の幹部自体も汚職で生まれたポストですから。完全にすべての利権を掌握してすべての利権でカネを手に入れて、それを自分たちのフトコロに入れる。もう汚職専門集団そのものですよ。
<ビル・ゲイツが中国人にとってのヒーロー>
<ネットは革命前夜の雰囲気>
石;さっき、大学生の就職難の話が出ましたけれど、北京の公共浴場、つまりお風呂屋さんが三助を募集したんです。そしたらなんと五千人の大学生が応募してきた。こうした事態にまで発展してきたらそれこそほんとに暴動が起こってきます。もう絶体絶命の状況です。
石;そのために唯一の道はみんな公務員を目指す。公務員試験は今年でいうと百万人の卒業生が受ける。競争率は73倍。女の子は大学卒業前に結婚しちゃう。
宮崎;日本人が誤解していた中国という国家像が、じつは実体は党細胞が中心で行政っていうのは飾りにすぎなかったということなんですが、国はいまだに共産主義を謳っている。実体を動かしている共産党は、共産主義をもはやまったく信じていなくて資本主義のカタマリでしょ。人民はどうかといったら、人民は自己中心主義で、もうカネ以外にあんまり興味がない。教養主義もすたれた。
『増長し、無限に乱れる『欲望大国』中国のいま』
宮崎正弘・石平 ワック 2010年1月15日
<人民元は大暴落する>
宮崎;ロシアは2008年まですごい成長だったでしょ。ところが2009年、GDPがなんと40%も落ち込んだんです。
・なんで、こんなに落ち込んだかといったら、石油の値段が下がったからなんです。そうすると、実入りがないけれども自転車操業でやってきたロシアの銀行が、みんな金欠状態になって、それで西側からドルとかユーロを借りているわけなんです。でなければ、どんどん企業は潰れているわけですよ。
・中国は西側からまだカネは借りてないんですよ。ここがものすごいマジックなんです。どうしてこんなことが成り立つのだろうかという疑問が出る。だから人民元について見れば、ある日、突然、人民元は切り上げになるんじゃなくて、大暴落するシナリオにも備えておかなければいけない。
・石;そうです。もう回収できるはずもない。どうしてかというと、広東省とか地方都市の商店街が軒並みシャッターを閉めているし、工場も潰れている。この実態についても中国政府、中国の関係者が発表した裏付けもあります。
<にっちもさっちもいかない通貨政策>
石;いままで貸し付けてきた大量の融資を、そのままいままでのペースでやりつづけると、必ずインフレになる。しかし、今のままで止めてしまうと大量の不良債権が発生してしまう。つまりもう回収できなくなるわけですね。全てのプロジェクトが途中で止まってしまうというわけです。だからいま、もうどうやっても難しい状態になってしまっているというんです。
<不満をすり替えるには、台湾を攻める>
石;失業問題を契機にして暴動が多発し、経済がさらに冷え込んでいく。失業者、職にありつけない大学生たち、彼らは、将来が不安だし現実でも不満を持つ。
宮崎;だからここで二つの問題が浮上してくる。ひとつは、そういう場合に大衆の不満をすり替えるには、対外矛盾にすり替えるのが一番手っ取り早い。だから戦争をやる。台湾を攻めればちょうどいい。もうひとつは、国内暴動でとどまっているならいいけれども、結局革命になるんですよ。
<北京・上海のいまを観察に行くー無限に乱れる中国人>
・巷の風俗はさらに先鋭化。町で「マッサージ」のチラシ配りは、いまや常識、一部のサウナとかマッサージは売春窟を兼ねるところが多いと聞く。女子大生は競って財閥の愛人を志願し、外国人相手のカラオケ・バアは美女が勢揃い、ともかく外国人のパトロン探し。値段は日本より高い。
『中国バブル崩壊が始まった』
鬼城、不正な輸出統計、汚職、汚染・・・張りぼて中国経済の面の皮が剥げ落ち、いよいよ中国からカネが逃げ出すゾ!
チャイナ・ウオッチャー 宮崎正弘 海竜社 2013/7
<この凄まじき汚職天国>
<中国国内の舞台裏でますます激しくなる汚職と腐敗>
・中国の上場企業は1720社もある。上海のA株に上場している、おもに国有企業である。各社がそれなりに工夫した決算報告によれば、あきれるばかりの「接待交際費」が計上されており、合計133億元(2234億円)が決算報告に網羅された。ただし、表に出た金だけである。交際費を使ったトップは、汚職省庁として名高い鉄道部に寄生する「中国鉄建」。この1社だけで8億3700万元(140億円)を接待交際費に計上した。
<中国全体を集団的焦燥感が襲う>
・中国国内で不動産物件の売れ残り在庫が64兆元(1075兆円)もあるという。これは日本のGDPの2.2倍である!驚異的というより、いかなるトリックでこんな現象が出現したのか。
そうした投機行為で財産をつくった太子党は海外へ逃げる準備に余念がない。また、庶民一般は不安の塊、つまり中国全体を覆うのは集団的焦燥感だという。「すべての(中国)国民が、得体の知れぬ焦燥感や不安に駆り立てられているような状況は、革命や動乱がやってくる直前のそれ」と指摘している。
・党幹部と財閥の焦燥感とはなにか。簡単である。党支配が崩壊するとき、財産を保全するにはどうしたらよいか。最善の道は海外での隠匿、そして海外逃亡である。
・中国の企業家たちには安心感がない。だから移民ブームを起こしている。
<そして中国からカネが逃げていく>
・ともかく高級幹部は、民間企業でも悪辣な手口で財産の海外移転をやらかしているのである。
<現代中国は『水滸伝』と『金瓶梅』の世界>
・いまの中国は「44大家族」に富が集中している。
・中国のジニ係数は0.62と出た。すなわち1%の特権階級が国富の62%を寡占している未曽有の所得格差状況を指し、まさに革命前夜の段階に入っているのである。
・汚職官僚を「裸官」というが、この「裸官」が大量に発生するのは、中国政治の腐敗した土壌に原因があり、すでに「1万8000名の高官らが法外なカネと共に海外へ逃げた。習近平の反腐敗取り締まりによって逮捕・起訴・左遷・減給などの処分を受けた共産党員は100万人を超えた」
・「裸官はすでに118万人に達しており、高級公務員の46.7%の子女は海外で永住権を獲得している」
<断末魔と日本への影響度>
<中国バブル崩壊で日本にはどのような影響があるのか?>
(A) 対中投資 中国国内の需要拡大を視野に工場拡大方針の企業も苦戦を強いられるだろう。
(B) 中国の国債 もし人民元の価値が下がり始めると帳簿上の時価が急速に目減りする。
(C) 通貨スワップ 日本とは一定の枠内での取引であり、日本からの輸出は円建て、中国からの輸入品の一部の決済が人民元で、これらは商社以外、メーカーは手をつけていない。
(D) 邦銀の貸し付け 大半は中国に進出した日本企業の貸し付けであり、合計3兆円程度と見積もられている。
(E) 進出した日本企業の株価 言うまでもなく中国投資にのめり込んでいる日本企業は数千社。
(F) CDS(クレジット・デフォルト・スワップ) 中国は対外的に金融商品を売っていない。
<もっと危険な人民元の崩壊>
・懸念すべきは中国バブル崩壊だけではない。今後、人民元の抱えるさまざまな問題がもっと深刻化することが予想される。
これまでの高度成長とGDPの躍進ぶりから、中国の通貨=人民元が次代のアジア基軸通貨となるなどとする滑稽な、非現実的な議論がまかり通ってきた。
・むしろ、経済危機を前にして、逆の発想が生まれてきた。つまり人民元の急激な下落、あるいは政府による通貨切り下げ、つまりデノミである。
<中国のGDPが成長する要素は消滅した>
・ここにきて、中国経済が、これからもGDPを伸ばし続ける要素はどんどん消滅しているのである。
第一に新幹線、空港、高速道路、地下鉄などの公共投資のコストを無視したプロジェクトは、赤字の山となった。
第二に民間投資だが、GDPの47%が不動産に向かった結果、過剰供給が産まれ、空室だらけとなったことはすでに述べたが、民間企業のような採算、コスト計算を度外視するのが国有企業のやり方である。労働移住、農村部からの国内移民が2億6000万人。このうち1億5000万人が都市部に流れ込んだ準定住者だ。
<中国経済が抱える三大矛盾>
・第三に貿易赤字の拡大である。人件費の高騰は中国で生産する魅力をなくし、企業の流出を招き、外資企業は中国国内で需要のない産業はすでにほかの国々に移動した。
・「三大矛盾を中国経済は抱えている。第一の矛盾は、政府主導の不動産投資が拡大し、民間のそれは下降したという矛盾。製造業の利潤は下落一途となった。第二は、中央政府は不動産取引の歳入で潤い、地方政府は開発を増やしたが、歳入が減少したという矛盾。第三は『安定的な成長』と『高度成長の堅持』を同時に標榜する矛盾だ」つまり、計画経済の行き詰まりを自由市場主義で克服しようとしても、不可能な地点に中国経済は直面しているという意味である。
<五大銀行は資本不足に陥る危険がある>
・「国有の五大銀行がいまのペースで資産拡大を続ければ2014年に五行合わせて405億元(約6800億円)の資本不足が生じるだろう。内部金融への依存度が現状のままだとすれば、2017年までに五大銀行の資本不足は1兆6600億元(27兆円)に達する」と予測した。しかし、中国の不良債権の潜在額が最大で700兆円と言われているのに、これらの数字は楽天的すぎないか。
・中国が直面する危機はバブル崩壊と地方政府の債務危機で、両者は緊密にリンクしている。
<中国の債務爆発は時間の問題>
・リーマンショック以後、中国は公共事業を急拡大した。このため地方政府の債務は2010年末時点で10兆7000億元(約171兆円)。それからも3年を閲してM3(通貨供給量)は100兆元(1080兆円)を突破した。こうみてくると、隠れてきた不良債権が顕在化するのは時間の問題であることが明瞭である。
<●●インターネット情報から●●>
Newsweek ニューズウィーク日本版 2017/6/15
辛口風刺画・中国的本音 辣椒(ラージャオ、王立銘)
習近平が私営企業に押す「共産党印」の不安
<中国共産党が開始した、私営企業内に党組織を作る運動が中国の経営者たちを戦慄させている。私有財産を公有化した文化大革命時代の政策を連想させるからだ>
中国共産党は最近、すべての私営企業を対象に「党建設がすべてを覆う」という運動を始めた。中国の歴史を少しでも知っている企業主たちの中には仰天し、自分の会社を閉じて全ての家族を海外に移民させた者もいる。
中国共産党が全ての企業の中に党組織をつくるだけなのに、どうして彼らはこのように恐れるのだろうか。
49年の共産中国建国後、毛沢東は「公私共営」という社会主義改造政策の名の下に全ての非公営企業、全ての土地、無数の商人と企業主の財産を公有化した。多くの金持ちは迫害され死亡し、政治の動揺で中国経済は停滞。30年間も発展のチャンスを逃した。76年に毛沢東が死去すると文革は終わり、鄧小平が「改革開放」を始めた。
鄧小平とその後の共産党の指導者の戦術は、私有経済の発展だった。共産主義はなかったことにして、私営企業と外国人の投資を許可。11年末には非公営経済がGDPに占める割合が50%を超えた。その時の指導者は恐らく党組織を私営企業の中に広めるなど考えたこともなかっただろう。
しかし12年に習近平がトップの座に就くと、私営企業に対して「党建設が全てを覆う」規定を強制。14年までに、全国297万私営企業の半分で党組織が設立された。外資企業も例外ではない。
今年4月20日、習近平は広西省でこう強調した。「党は党を管理し、党建設はすべて覆う」。私有制消滅を自らの任務とする共産党が、自らの党組織を私営企業に100%浸透させる、という意味だ。
共産党の私有財産権に関する「悪行」の記録は、ずっと金持ちたちを恐れさせてきた。習近平の登場以降、報道と言論の自由が後退し、人権派弁護士は大量に抑圧された。ドルの国外流出を厳格制限する政策はすでに外国人による投資に影響し、今また私営企業での党組織づくりを強行する。
様々なきざしに、嗅覚の鋭敏な人は大きな災難の到来を予感している。自分の企業に「共産党印」を刻印される前に、すべてがもっとひどくなる前に、企業家たちは決断を始めている。
<「密告奨励法」で中国は暗黒時代に逆戻り>
2017/4/25
<北京市は今月、スパイ取締りの手がかりとなる通報を奨励する新規定を交付。市民を相互監視させるやり方は、まるで共産主義下の旧ソ連や毛沢東時代の中国の再現だ>
北京市当局は4月10日、「公民によるスパイ行為の手がかり通報奨励弁法」という新規定を交付した。新規定は市民が電話や投書、直接訪問するなどの方法で、スパイ取締部門の北京市国家安全局に手がかりを提供することを奨励。通報に対して最高で50万人民元(約800万円)の奨励金を支払い、通報者の個人情報と身の安全は守る、と定めている。
習近平が中国のトップに就任して以来、反政府的な主張をする人々への取り締まりはますます激しくなっているが、外国人の管理もどんどん厳しくなっている。布教活動やNGO、あるいは人権活動に関わる外国人がスパイの罪名で秘密裏に逮捕される事件はしょっちゅうだ。
現在、この新しいスパイ通報規定がとんでもない結果をもたらすのでは、との憂慮が高まっている。政府が言いがかりをつけ、さらに強い権力を使って反政府活動家や中国の諸問題に関心のある外国人を迫害する恐れがあるからだ。
中国で最も有名な民間の情報パトロール組織は「朝陽群衆」と呼ばれる。中国当局は地域の時間に余裕のある暇な人(特に老人)を動員。物質的な報酬を与えることで、彼らを民間パトロール隊として組織した。彼らは警察と協力して、朝陽区内のいかなる疑わしい行為も察知し、積極的に手がかりを提供する。
朝陽区は北京市内の6つ区の中で最も面積が大きく、北京商務中心区(CBD)があり、外国が大使館を設置し、三里屯など外国人も住む高級住宅街もある......と、「ネタ」には事欠かない。2013年、北京の警察当局がある社会的影響の大きい事件の発表の中で通報者を「朝陽群衆」と呼ぶと、この神秘的な「朝陽群衆」が徐々に注意を集めるようになった。
【参考記事】一般市民まで脅し合う、不信に満ちた中国の脅迫社会
ネットユーザーのネタになった「朝陽群衆」だが、彼らがこの組織を皮肉る、あるいはネガティブに捉えるのは、結局彼らが密告者だからだ。北京市公安局の公式微博(ウェイボー)アカウントは2015年から、意識的に「朝陽群衆」という言葉を使い始め、今年2月には「朝陽群衆」というアプリも登場。北京市公安局がネットユーザーにダウンロードして使うよう奨励している。スマホユーザーはこのアプリを使えば、いつでも警察に自分が見た疑わしい事件を報告できる。
社会のすべての構成員を動員して「悪人」を通報させ、「悪人」の運動を捕まえる......「朝陽群衆」アプリと今回の新しいスパイ通報規定の登場は、共産主義時代のソ連や東ドイツ、そして毛沢東時代の中国を連想させる。
政府が国民相互に密告し合うことを奨励し、国民が互いを恐れる雰囲気をつくり出し、社会全体の相互の信頼が失われる。これと同じ事態が、まさに今の中国で再び起きている。
■■■ 私が思うこと、聞いたこと、考えること ■■■
・中国の情報は、当然のことながら、現地の担当者がよく分かることでしょう。中国全体には、日本人の長期居住者は何人ぐらいいるのでしょうか。10万人は超えているようです。彼らが毎日、いろいろと体験をしていることでしょうか。私たち一般人は、外国についてはあまり、関心がありませんが、隣国の中国の情報が気になりだしたのは、中国とのトラブルが急増してきたからでしょうか。尖閣諸島の問題の頃から、急激に変化してきたようです。しかしながら、「中国はよく分からない」というのが、私たち一般人の感覚のようです。現地の駐在員も、広大な国と人口大国の中国を理解するのには難しいと語られています。
「もしも「自分の中国に対する理解が絶対正しい」と言い切れる人がいたら、希代のペテン師だとしか思えない」と著者は述べています。ましてや私たち一般人には、理解不能なことが多いようです。情報の時代ですから世界中のチャイナ・ウオッチャーには毎日、膨大な中国の内情が届くようです。「民主化」と言う言葉もタブーになっている感じです。
・韓国についても膨大な書籍が出ていますが、このブログでは、ほとんど取り上げていません。内容が刺激的なものが多いといわれます。その国の大統領の末路も暗いものがほとんどだといわれます。私たち一般人には、限られた時間しかありませんから、世界中の情報を広く浅く知るしかないのかもしれません。中国経済のハードランディング論も「鬼城」などをあり、否定しようがありません。しかし、広大な地域であり、人口大国ですから、統計的に把握することは、難しいといわれます。
・不動産と言うのは金額が多額ですので、影響力は非常に大きいようです。日本も不動産のバブル崩壊で深刻な打撃を受けましたが、社会主義国の経済対策は、歴史的に、それぞれ独自なものがあるのでしょう。
中国では「上に政策あれば、下に対策あり」といわれていますので、庶民はしたたかに生きているそうです。「中国経済は心配ない『高富師(=長身でお金持ちのイケメン)』だ」ということなのでしょう。「重大な規律違反」で解任された高級官僚も非常に多いといわれます。
・「元安」の問題にも強力な経済統制で乗り切ることでしょうか。「政策決定が不透明なだけでなく、政策が持続可能かどうか判断する材料も乏しい」と著者も述べています。重工業部門の過剰設備等の問題もあり「隠れ失業者」の問題も深刻だといわれます。いわゆる「中所得国のわな」にはまるリスクから抜け出すことは非常に困難のようです。中国政府が全国に1300万人いると推計する「無国籍者」の問題もようやく対策が打ち出されたようです。人口大国ですから、社会問題になる人数が非常に多くて、解決不能ともいわれます。「制御不可能な国という中国固有の歴史的条件がある」と指摘されています。一人っ子政策の歪み による3400万人の「男性余剰」の問題は、地政学リスクになっているといわれます。社会保障の問題も多くあると指摘されています。「人口爆発と食糧難への恐れから「国策」としてきた産児制限の軌道修正は遅きに失した」そうです。
Ł字型の景気も構造改革がすすまず、「肝心の国有企業改革は見込み薄だ。一部を合併・再編し、大規模化するだけに終わるだろう」といわれます。
全体として、ネガティブな話が依然として多いと語られています。
「ハードランディングのインパクトは日本のバブル崩壊の13倍」という説もありました。
「中国の制裁を米国が決定」というニュースが流れていますが、今後さまざまなリスクが懸念されます。
・amazonに「中国崩壊」と入れますと213件の書籍がわかります。最近では『中国経済崩壊のシナリオ』(2017/10/31)、とか『戸籍アパルトヘイト国家・中国の崩壊』(2017/10/20)が出版されています。日本のバブル崩壊と同じで、すべてが「ゼロ」になるという意味ではないと語られています。「崩壊論」の功績と言えば、それまでの「バラ色の中国経済の未来論」について、警鐘を鳴らしたことだそうです。それ以降、ほとんどネガティブな論調になりだしたといわれます。日本の経済界にとっても「中国への進出」の難しさが、ほぼ担当者全員に認識されたと語られています。これからも「中国崩壊論」は出版されていくことでしょう。当然のことながら、私たち一般人は、中国社会の内情については、詳しくはありません。「中国崩壊論は10年以上前から続いているが、いまだにその兆しは見えない。いつがXデーなのか?」という質問も当然のことのようです。メディアには中国の躍進の番組がほとんどだといわれます。それに対しては「中国はすでに死んでいる」と指摘されています。農民や農民工のレベルから見ますと「持続不可能」の状態であると報道されています。
・アメリカの投資家の対応については、既に「中国経済のネガティブな未来」を見越して、あらゆるアクションがとられているといわれます。とくに金融機関の動きには注目が集まっています。欧米諸国の金融機関の対応は、厳しくなっていくと指摘されています。業績に直結しますので、経営者は真剣です。米国の情報組織のほうが、「経済スパイとしての能力が高い」と指摘されています。常に、政府の動きよりも、企業の動きが素早く、活発的なようです。ヨーロッパ諸国の中国に対する認識は、どうなのでしょうか。一般的には、中国への真剣な取り組みに変わっていくことでしょう。当然のことながら、中国共産党も、体制の維持のためにさまざまな政策を打ち出していくことでしょう。「上に政策あれば、下に対策あり」ということで中国の大衆も、さまざまな自衛策をとっていると語られています。中国は“人類の難題”となっていくそうです。強力な治安部隊があるといわれますが、国内の治安統制はどこまで可能となるのでしょうか。
・『「中国の時代」は終わった』という本は4年前の本ですが、内容が古いとは言えないといわれます。「ジョージソロスは「2年以内に中国は終わる」と予想した」、「クルーグマン(ノーベル経済学賞)は「中国の停滞は30年続くだろう」と予測する」、「ソロスの一番弟子だったジム・ロジャーズは「『中国の時代』が来るが、到来と同時に終わるかも知れない」と比喩した」というように世界の有識者も中国の未来を非常にネガティブに見ているようです。経済成長も長い停滞期に入っているようです。数年で終わる規模ではないといわれます。中国の統計数字そのものも信頼性が低いといわれます。
・トランプ大統領がアメリカ・ファーストを唱えて「内向きの政策」を強化するといわれました。同じように、中国も「チャイナ・ファースト」を唱えて、「内向きの政策」に専念せざるをえないようです。世界中の国々から非常にネガティブな印象を持たれているといわれます。とにかく、外交よりも内政を強化していかないと、あらゆる「矛盾」が化学工場の爆発のように暴発するといわれます。ここにきて中華料理も人気がなくなり「大気汚染のひどい中国に住みたい」という人はいなくなったといわれます。移民や不法移民の問題も深刻になっていると指摘されています。中国の漂流が続くと指摘されています。「制御不可能な国という中国固有の歴史的条件がある」といわれます。「15年と16年ともに経済成長率はマイナスではないだろうか」という経済学者の見解もありました。
・『エコノミスト2017年2/21号』が「2017中国ショック」という特集を組んでいます。これからも、「中国ショック」の特集を組む雑誌や本が増えることでしょうか。根本的な原因として、共産党官僚がノーメンクラーツ(赤い貴族)と化し都市部の民工、農村戸籍の人民などの「豊かさを制限する」と指摘されています。「上に政策あれば、下に対策あり」といわれますが、大衆の感覚では、もはや限界といわれます。
「来世はブタでも良いから中国人には生まれたくない」と回答する者もいるといわれます。
・「誰よりも中国を知る男」石平氏によると、「政府は全部党の出張機関みたいな有様です」ということだそうですが、軍と中国共産党の支配統治体制による、市場経済化、開放経済も矛盾が極大化しているといわれます。
・『岡目八目』といいますが、ここにきて中国が中国を見る姿と世界各国が中国を見る姿が大きく違ってきているのが分かるといわれます。私たち一般人には、各国の通貨政策のことはわかりませんが、通貨変動の予測は難しいといわれます。中国元安が続くと指摘されています。どこまで中国政府の強権的な経済統制ができるかが問題となってきています。
・資本主義化した中国に対して、共産主義の原理主義者や人民解放軍の聖戦派などが複雑に入り混じり権力闘争を演じ、格差の拡大、暴動などで混沌な社会情勢となり、「不満をすり替えるには、台湾を攻める」というような社会混乱状態の懸念を中国は、歴史的に繰り返していると語られています。
・石平氏は、『トランプVS.中国は歴史の必然である』、『バブル崩壊で死ぬか、インフレで死ぬかー不動産国家・中国の行方』、『中国の経済専門家たちが語るほんとうに危ない!中国経済』等156件の本を出版しています。が、「ドバイより1000倍も危険な中国不動産バブル」でしたので、当然、世界中の多くのチャイナ・ウオッチャーが懸念していると語られています。この中国情勢で世界の株式市場はどのような影響を受けるのでしょうか。チャイナ・リスクの大きさをビジネス界や政界は、痛切に認識し始めましたが、ここにきて欧米の対応が注目されるといわれました。
・インターネット情報によると「米紙フォーブス中国語版は(2014年)4月14日、物件価格の値下げが止まらない杭州市を取り上げ、『中国不動産市場の崩壊が始まった』と題した記事を掲載した。米不動産サービス会社大手のジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)によると、2013年末の杭州市高級オフィスビルの入居率は30%に留まっている。しかし、それよりも問題が深刻なのは同市の住宅市場だと同誌は指摘する。買い手が付かない新築物件が急増する中、不動産開発業者は相次ぎ値下げ競争に走り、杭州では30%の値引きが常態化している」とのこと。シャドーバンキングの問題や不動産バブルの崩壊は、報道しないメディアが稀なほど、世界中のメディアの誰の眼にも明らかになりつつあるようです。「群盲像を評す」といいますが、旧態依然の政治経済システムが13億人の膨大な人口の国を蝕み続けているようです。
・中国に関して珍しくポジティブな本を出している、ある評論家によれば「私は、中国にいる日本人駐在員のためにポジティブに書いている」といっていましたが、中国経済を牽引する要素がなくなりつつあります。肝心の不動産投資が回らなくなってきているようです。
・インターネット情報によりますと「アメリカ司法省は、中国人民解放軍の将校5人がアメリカを代表する企業のコンピュータに違法に侵入して情報を盗み取ったとして、5人を産業スパイなどの罪で起訴しました。起訴されたのは上海に拠点を置く中国人民解放軍の61398部隊に所属する5人の将校である」とのこと。以前から「サイバーウォーでは、すでに米中戦争が始まっている」といわれていたそうです。「中国を敵と認識する」米国議会の議員が増えていると語られています。「中国国籍を捨てた中国人しか信用ができない」という中国の特殊性が米国人の有識者にも理解され始めたそうです。今後ともサイバー犯罪も世界中で激増しそうですので、警戒・対策が必要といわれます。トランプ大統領の中国政策が懸念されています。また、世界中の若者の失業は深刻ですが、犯罪や不法移民の激増、大麻や汚職の蔓延といった社会問題が、並行して大きくなると語られています。「人口大国だから、なんでもありという状況」といわれます。
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・ブログ名称: UFOアガルタのシャンバラ
・第2のブログ名称:UFOパラレル・ワールド
「神の国か?」「人類の原郷か?」 「天上のエルサレムか?」・・・・・・・・・
「パラレル・ワールドに住む宇宙人、天国に出入りし転生と憑依を自由に操るシリウス星人の殖民星が、地球か?」、「ネガティブのシリウス星人の地球支配があまりにも巧妙なので、しょっちゅう戦争が起こるのだろうか?」
「金髪碧眼のノルディックが住んでいたアガルタのシャンバラ情報の集大成を目指す・・・・・・・・・・」「金星蛇人と火星霊人の戦争はその後どのように展開したのだろうか」
「日本民族の神話の原郷『高天原(たかまがはら)』は、『都市型の超巨大宇宙船』なのか!?」「平家がプレアデス星人の末裔で、源氏がオリオン星人の末裔なのか」
「小人族のグレイの母船に同乗する金髪碧眼のノルディックは、”悪魔の王””ルシファー”なのか?!」
「円盤は神人や異人、悪魔の乗り物なのか!?」「天使は神の秘密諜報員なのか」「神は最初のフリーメーソンなのか」
「UFOは、人類の歴史が始まって以来、最も重要な現象なのか。UFO問題とは、人間にとっての死の問題を解くことなのだろうか。UFOはフリーメーソンの創作なのか」
「全宇宙を創ったという“虹の神々”も地球に来ているのだろうか」
「イルミナティなどのフリーメーソン組織に入ると神に会えるのだろうか」「金星の神々は地球に到着するやいなや、イニシエーションのためのフリーメーソン本部を設けたのだろうか」
「国際連合の設立に動いたキリストの星、アプ星人とは」
「人は皆、記憶喪失の異星人だろうか」
「はるかに進化した天使のような宇宙人は、人間の守護霊や背後霊なのだろうか」
「セドナ上空に見えないエーテルのシティが滞空するのだろうか」
グーグルのブロガーにも書いています→UFOパラレル・ワールド
『Newsweek 2017/10/24』
[中国崩壊本の崩壊カウントダウン 高口康太]
「出版」問題を抱えた中国経済は早晩破綻する――根拠なき崩壊論に訪れる曲がり角 「反中本」はなぜ生まれ、如何消費されてきたか
・曲がり角を迎えている最大の理由は、10年以上前からオオカミ少年のように「間もなく崩壊する」と言い続けたのに中国経済が一向に崩壊しないからだ。「崩壊詐欺」とも批判を浴びている。そして、本の売れ行き自体も低調になった。
<中国のGDPは公表値以上?>
・中国の経済統計が捏造されているとの指摘も定番だ。ただ統計制度の未成熟ゆえ、逆にGDPを過小評価している可能性もある。
<あと一歩で「反中本」作家に>
・私はこれまで中国崩壊本は書いたことがない。しかし、共著本の題名を『なぜ中国人は愚民なのか』に変えられ、反中本作家の仲間入りする寸前の経験をしたことはある。
{『崩壊』とは言っていない 予言したこともない}
インタビュー:代表的著者の石平が明かす、相次ぐ「崩壊本」出版の裏事情
—―いわゆる「中国崩壊論」に対する批判が最近高まっている。現実と真逆ではないか、という指摘だ。
(石平)私の主張は「崩壊」というより「持続不可能」という表現が正しい。消費拡大を伴わず、公共事業と輸出に依存した、いびつな経済成長は持続不可能という内容だ。
(石平)書名は出版社の管轄だ。
・(バブル経済崩壊で)日本も崩壊したが、日本人全員が路頭に迷ったわけではない。同様に中国経済もいきなりゼロになることはあり得ない。
—―中国崩壊論は10年以上前から続いているが、いまだにその兆しは見えない。いつがXデーなのか?
(石平)いつ崩壊するなどと予言したことはない。持続不可能と指摘しているだけだ。ただし、誤算があったことは認めたい。
・次の著書では自らの誤算と中共の変化について詳述する予定だ。
『中国バブル崩壊の全内幕』
2017年、習近平は失脚する
宮崎正弘 石平 福島香織 宝島社 2016/7/1
・中国の経済崩壊は誰の目にも明らかになっている。しかし、その崩壊ぶりは大方の予想を超える規模になりつつある。
<逃げ遅れた日本企業を待ち受ける地獄>
<中国経済を見限った『FT(フィナンシャル・タイムズ)』>
・「貸付のペースは経済成長の4倍、債務の転がしが2017年党大会まで続くかもしれないが、すでに大量の失業、暴動の頻発によって習近平政権の権力基盤が崩れ始めている。このうえ経済の不安定化が続けば政権はますます不安定となるから、大量失業、業界再編の大ナタばかりか、銀行、大企業の倒産を認めるという路線へのシフトが早晩起こるであろう」
今さら言うまでもないが、中国経済に見切りをつける動きは今年、ゴールドマンサックスが先駆けとなり、以後は世界的規模で拡がっている。
<日本の直接被害は23兆円>
・出遅れたのはむしろ日本ではないだろうか。中国経済の大失速によって、日本はどれほどの被害を受けることになるだろうか。
日本企業が逃げ遅れた事由は指摘するまでもないが、これまでに直接投資としてトヨタ、日産をはじめ、およそ2万社近くが工場建設などに投じたカネは少なくとも1000億ドル(11兆円)である。円借款は3兆円強。日本政府がつきあいで保有する中国国債は6800億円。そして邦銀が中国企業(日本企業も含む)に貸し付けている残高が8兆4000億円。これだけの合計でも、2016年5月現在、23兆円強になる。
・加えて日本人投資家の中国株保有という潜在的リスクも勘定に入れなければならない。これらは主に香港経由で、香港に上場されている「レッドチップ」(中国本土企業の株式)、そして日本の証券会社が組み立てて販売しているチャイナ関連の、無数の「投資信託」があり、投資額は数兆円に達している。なかには投資活動を中断した投資信託、解散した金融商品などがあり、個人投資家の損失も相当な巨額になるはずである。
・さらに問題は中国国内で営業、販売をしている日本企業が売掛金の回収不能に陥り、倒産するところが目立ってきた。つきあいで社債を買わされたところも2015年来、社債のデフォルトが続いているため先行きは真っ暗である。
あまつさえ中国政府はご都合主義だから、国内の不満をすり替えるため、政治的タイミングを見計らって、またも「反日運動」を組織化する可能性は否定できない。
人為的暴動などによる日本企業の焼き討ちなど凶暴なシナリオも考慮に入れておく必要がある。十数年来、懸念されてきたチャイナリスクがいよいよ本格化する。
<ジョージ・ソロスの警告>
・世界一の投機家、ジョージ・ソロスは「中国は深刻な状態にあり、いずれ破局を迎える」と改めて警告した。ソロスは1月のダボス会議で「中国のハードランディングは不可避的である」と発言したばかりである。
2016年4月22日、ニューヨークで開催されたアジアソサイアティで記念講演に立ったソロスは、「銀行預金より貸し出しが多い」という初歩的な疑問から「中国が銀行間の貸し出しをしなければならない現状は『不安定』と『不確実』な状況をさらに悪化させる」とした。すでに第1四半期だけでも4兆6100億元(78兆円強)を市場にぶち込んだが、裏付けとなる国債を出したわけでもなければ短期政府証券を発行しているわけでもない。そもそも外為の相対取引はなかった(というより、外貨準備は同時期に大幅に減ったのだから、ドルと人民元の相対取引で国内に人民元を供給することはできない)。つまり「裏付けのない貨幣をばらまいた」ことになる。
2016年3月だけでも中国の新規貸し出しは2兆3400億元(邦貨換算=42兆円強)。主目的は不動産バブルを今一度煽るためであった。だから大都市の不動産価格が不思議なことに上昇したのだ。
国有銀行の抱える不良債権を表面化させない目的と倒産寸前の「ゾンビ企業」(死んでいるのに死んでいないふりをする会社)にカンフル注射を打ったわけだ。つまり、経済原理的な法則に立てば、人民元は大下落を免れないことになる。
・第一の問題は中央政府、地方政府ならびに国有企業の債務である。2008年のリーマン・ショックを言い当てたジョン・タルボットは、「中国の債務は30兆ドル(3300兆円)だ」と指摘している。このうち企業債務はGDPの160%(1700兆円)。地方政府の債務は中国財務部の桜継偉財政相が公式に認めた額だけでも邦貨290兆円にのぼる(欧米のエコノミストは、360兆円と推測している)。
中国企業の債務に関連する日本企業はこれを危険信号と受け止めるべきではないのか。中国経済の今後の最大の問題は、債務をいかに解決するかにかかっている。というより解決不能、中国は次の「失われた20年」という氷河期に入るというわけだ。
<FRBに助け船を求めていた>
・情報の透明性が中国には決定的に欠けている。したがって2016年前半期は小康状態だろうが、以後、ふたたび大暴落がやってくるだろう。
<ハードランディングのインパクトは日本のバブル崩壊の13倍>
・中国経営報によると、5大銀行の不良債権率が急上昇しており、なかでも経営危機に近いのが中国農業銀行だという。不良債権は2129億元(3兆8000億円)にものぼる。上図に示した数字はいずれも公式発表である。実際はこの10倍と考えていたほうが理にかなっているが、今はそのことは問わない。
これら中国発表の数字は、西側専門筋の推測統計とは天と地ほどの差異がある。中国の発表はあまりに数字が少ないのだ。
もし中国経済が「ハードランディング」した場合、最悪でこれら債務残高のうち4割が不良債権化すると見られるから、邦貨換算で1320兆円もの不良債権が生じる。日本のバブル破綻の比ではない。日本のバブル崩壊による不良債権は100兆円だった。すなわち日本のバブル破綻の10倍以上の破壊力をともなう、史上空前のバブル経済大崩壊となるのである。
<生産コストを無視し、半値でも売る状況に>
・鉄鋼は生産能力が9億トン、2015年だけでも余剰在庫をダンピング輸出している。国際的には平均で1トンの生産コストが50ドルなのに対して中国は90ドル、それを半値で売る。1億トンは無理矢理売りさばくことができたが、その煽りでインドのタタが経営不振、韓国ポスコは倒産寸前、ベトナムの製鉄会社は倒産したほどに悪影響は計り知れない。石炭労働者の給料遅配は常識となり、炭鉱夫の数十万人がすでに解雇され、千数百の鉱山は閉山された。各地で激しい労働争議が起きている。
<中国が風邪をひいたら、周辺国は肺炎になった!>
・2016年になって、新しい不動産開発の件数は前年比で90%の落ち込みとなっている。したがって余剰建材、セメント、鉄鋼はダンピング輸出だが、余剰人員はどうするのか。それがかのAIIB、BRICs銀行(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)と中央アジアから中東を巻き込む陸と海のシルクロード構想である。露骨に言えば、海外へプロジェクトを輸出し、この余剰在庫を処分し、余剰労働者を派遣するという目論見、これでモノとヒトの在庫を処理してしまうという腹づもりだったのである。すでに悪影響は中国依存の高いアジア諸国に表れ、中国がこじらせた悪性の風邪で周辺諸国は肺炎になった。
・今や、中国企業ですら、人民元安がくることを見越して外貨建て社債の前倒し返済にあてる企業が続出している。宝山製鉄はドル建ての短期債権38億ドルをそそくさと返済した。「人民元が強いうちに、そしてドルと交換ができるうちに!」という考え方からだろう。
中国政府は「人民元はこれ以上、下がらない。外貨両替を焦る必要はない」とプロパガンダに懸命だが、誰も政府の言うことを信用しない。
<膨大な公共債のツケ>
・さて問題は、この公共投資のツケである。たとえば新幹線は国家予算だけではなく、「鉄道債」でまかなわれた。当然だが、すでに鉄道債の償還時期を迎えている。地方都市の地下鉄は地方政府債券などでまかなわれたが、借金の返済が始まる。返すのは運賃収入である。それを当て込んでの予算措置が当然行われてしかるべきだが、その形跡はない。
<「一人っ子政策」をやめることになった>
・ここに人口動態の激変が次の経済予測を占う際に重要なデータとなる。人口ボーナス時期を越えた中国は日本より急激な老齢化、つまり人口減少時代を迎える。
このことに気がついた中国共産党は突如、一人っ子政策を緩和し、2014年から2人目の子供を生むことを奨励し始めた。
・他方、労働人口においては、急速な少子高齢化により、「世界の工場」は今後成立しにくい近未来が見える。そのうえ矛盾するかのように大学生が年間700万人を超え、あまつさえ新卒学生にまともな就労先がない。
<今頃になって出生率向上を目指すというのだから、その政策は根本的にデタラメである>
・中国の戸籍なき子供は少なくとも1300万人と見積もられている。これらを「黒戸(黒孩子)」というが、統計学的に存在しない幽霊人間を指す。「存在しない」のだから、法律上いかなる権利も受けられない。学校へ行けないばかりか、汽車にも飛行機にも乗れない。中国では航空券ばかりか、鉄道のキップを買う時にもIDカードが必要だからである。
・農村ではとくに女性の黒戸が多い。というのも、労働をさせるには男子が望まれ、男子が生まれるまでの赤ちゃんは戸籍の申請を役所にしなかったからだ。もちろん、学校へ行けないから文字も書けない。役人がやってきて「その子は存在しないのだから存在を消せ」と、無理矢理殺害を命じるという信じられないケースもあったという。小中学校は義務教育であるが、中国では教育は無償ではないので、教科書も買えない貧困家庭も激増した。
・したがって2人目の子供を申請した夫婦は法律改正後、半年でわずか175万組、許可になったのはそのうちの145万組という信じられない数字が報告されたのである。
社会問題から見ても、中国の躍進ぶりが終焉したことがわかる。
<アメリカが中国に憤激する最大の理由は「ハッカー」>
・中国の情報戦は、「革命輸出型」から「経済情報獲得型」へ戦略シフトが起きている。これは、経済発展の後ろ盾となる科学技術や経済情報の価値の上昇も大きな原因である。
敵のコンピュータ・ネットワークに悪性のウィルスを送り込む。HPを改竄する。偽情報を流す。陽動作戦で敵のシステムをズタズタに寸断する。ハイテク技術を盗み出す。ありとあらゆる悪辣な手段を実行し、軍事的ハッカー戦争では優位に立った中国!
彼らが仕掛けている情報戦争の実態を知らないことは危険である。
<アメリカ国内で影響力を失った中国尊重派>
・ゴールドマン・サックス、JPモルガンを筆頭に、アメリカの主要金融機関はことごとく中国の金融機関への出資を引き上げている。香港大財閥の李嘉誠は、その先を読んで中国どころか香港も危うくなるとして、不動産、資源投資を欧米にシフトさせ、もはや中国の未来は絶望的だ。HSBC(香港上海銀行)も香港に戻るのをやめた。
<孤立化の道を突き進む中国>
・習近平によって、中国が経済的にも政治的にも壊れていくことは明白です。しかし、そこで問題なのは、壊れていった先に何が待ち受けているかがわからないということです。
・ただ、率直に言って日本は軍事力もなければ情報もない。外交というのは軍事力と情報がなければできないんですよ。ですから、アメリカの動きを見ながら、非常に効率よく立ち回るしかないでしょうね。
・こうして中国の経済成長モデルは、もう完全に行き詰っている。だから、0%成長、あるいはマイナス成長に陥るのはむしろ当然のことであろう。そして今後、0%成長かマイナス成長が続くなかで、失業の拡大による内需の更なる低減と景気のよりいっそうの悪化は必至だ。同時に、今の中国経済は、「不動産バブル崩壊」と「シャドーバンキングの破綻」、そして「地方財政の破綻」など、いくつかの「時限爆弾」を抱えているが、0%成長かマイナス成長の状況下で、それらの「爆弾」が1つでも、あるいは同時に爆発したら、中国経済は確実に即死するのだ。
<天国から地獄。すさまじいゴーストタウンの現状>
・地方政府は不動産バブルが吹き込んで歳入が激減、最悪といわれる遼寧省では3分の1まで落ち込んだ。概して市町村レベルの歳入は半減、まさに天国から地獄というわけだ、このような状況下では「銀行の貸付が不良債権化する」という恐怖が現実味を帯びてくる。
『「中国の時代」は終わった』
宮崎正弘 海竜社 2014/5
<世界を驚かせた中国の高度経済成長は“呼吸困難”に陥った!>
◎ジョージソロスは「2年以内に中国は終わる」と予想した。
◎クルーグマン(ノーベル経済学賞)は「中国の停滞は30年続くだろう」と予測する。
◎ソロスの一番弟子だったジム・ロジャーズは「『中国の時代』が来るが、到来と同時に終わるかも知れない」と比喩した。
・真実はすでに知られているように南京市民は日本軍の入城を歓迎した。虐殺どころか、侵略行為は何もなかった。国共内戦、反右派闘争、文革で自国民を8000万人も殺した共産党にとって、30万人だろうが、40万人だろうが、それは小さな数字でしかなく、客観的事実はどうでもいい。そもそも南京大虐殺がなかったことはすでに120%証明されているが、中国では一切報じられていない。
・とはいうもののこれらの行為は日本をしてさらに反中国感情を滾らせるマイナス効果となり、日本企業が撤退すれば、中国経済は破綻の危機を迎えるだろう。自滅行為、いやこれぞ、中国が自らに課した「自爆テロ」となる可能性が高いのかもしれない。
<頓珍漢な発言を繰り返す中国軍人たち>
・さて羅援はニュースサイト「吉和網」で、「中国と日本が開戦すれば、中国のミサイルで日本は火の海になる」と主張した。
<中国の横暴にアメリカも怒りを露わにしている>
・2013年には米中艦隊が衝突寸前になった。
「過去20年にわたって米国は中国と航海のルールを取り決めようと話し合ってきた。まったく無駄に時間をつぶし、最近は南シナ海でミサイル駆逐艦と中国軍艦が一触即発の危機的なハプニングに遭遇した」
<何を思ったか。効率的な改・編成を急ぐ人民解放軍>
・だが、このような改革案は中国軍人の体質を考えるとまさに「夢」である。団体行動ができない中国人。後ろから督戦部隊が前線の兵士に鉄砲を撃つので後退ができない軍隊。統幕議長が不在、いやそもそも統幕本部の存在しない軍隊が近代国家の軍隊として同じく機能すると考えると事態を誤認しやすいのではないか。
<インド洋からアラビア海を狙う中国海軍>
<大軍拡の裏で軍の腐敗は広がり続ける>
・中国人民解放軍の車両は白いプレート。これさえあれば高速道路無料、検閲所はフリーパスである。スピード違反や車線変更、信号無視など交通違反を犯しても軍が優先する中国では犯罪にならない。違反取り締まりの対象外だ。
・軍幹部が「愛国」と口にしながらベンツを乗り回し、「節約」と口にしながらフカヒレ、アワビ、燕の巣を食し、白いプレートの車(自家用車)には愛人を乗せ、「会議」と称して高級ホテルのスイートルームに陣取る。軍経営のホテルは売春婦がうようよしているが、これも警察の捜査対象外。
習近平はこの軍の腐敗にもメスを入れた。
<中国の時代の終わりの始まり>
<中国は人間の住めるところではなくなりつつあるのだ!>
<すでに富裕層は海外逃亡している>
・世界保健機構(WHO)の調査によれば、世界のガン発症率は、中国がワースト1位だったことがわかった。あの大気汚染、水質汚濁で肺ガンばかりか肝臓ガン、食道ガンの発生が中国で際立ち、2012年の新規患者のうち死亡した人の、じつに36%が中国人。肝臓と食道ガンの死亡率は50%(世界人口に占める中国人は19%)。だから中国人にアンケートをとっても「来世は中国人に生まれたくない」と答える人のほうが多いことになる。
・報告によれば中国の土地全体の16.1%が汚染され、農地では全体の19.4%が汚染されている。
・主な原因とは農薬、汚染水、殺虫剤の大量使用などが挙げられたが、特に汚染された農地のうち82.8%で毒性の強いカドニウム、ニッケル、砒素が観測され、その総面積は米国のメリーランド州全体に匹敵するという。こうなると中国産の食品は危なくて食べられない。
<中国軍は「戦争準備」ではなく「逃亡準備」完了?>
・亡命者の告発本が日本でも出た。陳破空、『赤い中国消滅~張子の虎の内幕』(扶桑社新書)である。
中国の内側で実際に起きている腐敗、行政の機能不全ぶりの醜態を暴き、動かない、というより動けない人民解放軍の実態、汚職の巣となってしまい、「中国のすべてのシステムがいずれ大音たてて崩壊するであろう。四川省地震のように」と大胆に予言する書である。
しかし崩壊後に中国を襲うのは民主化ではなく軍のクーデターの可能性が一番高いだろうとも示唆する。
・つい先頃まで「中国は尖閣諸島を日本領であるとハッキリ認めていた。だが、いまになって尖閣諸島は中国のものだと主張し、軍艦と戦闘機を尖閣諸島周辺海域に繰り返し進入させ、日本を挑発している。中国の野心の大きさ、強硬な態度は世界を驚かせている。『日本の経済支援なくして中国の現代化はあり得なかった』ことは、かつて中国共産党の指導者自身も認めていた事実である。それがいま、中国共産党は日本を敵となし、恩を仇で返している」と正論を主張するのである。
・軍の腐敗ぶりも凄まじいことになっており、息子や娘を軍に就職させるために親が軍幹部に贈る賄賂の相場は2万元から5万元に跳ね上がり、軍は売春宿、武器密輸、武器転売などのサイドビジネスが盛ん。挙げ句に海軍の軍艦が密輸をやっていると驚くばかり。この軍隊が戦争をやってどうなるか。
<不動産価格は68%下落する>
・さて、中国の不動産価格はどこまで崩落するだろうか?
昔から北浜や兜町の相場師が口癖にした下落の原則は「半値・8掛け・2割引」である。つまり68%下落する。日本のバブル崩壊後の株価はまさにそうなったが、中国の不動産価格も同じリスクに直面していると見て間違いない。
・不動産バブルが崩落し始めたが、まだまだ序の口。「半値・8掛け・2割引」となれば100が32に化ける。極端な話、中国の不動産価格は過去10年で10倍になったから10分の1に戻っても不思議ではない。
<日本はこんなときロシアを政治利用すべきではないか>
・とはいうもののシベリアへ滑り込む中国の不法移民にロシアは業を煮やしており、ハバロフスク地方では2012年の1年間だけで「ロシア連邦保安局」は1000人以上の中国人不法移民を国境で阻止し追い返した。ナホトカのチャイナタウンはほとんどががらんどうである。
同年秋、ロシアはモスクワで非合法の屋台を一斉に手入れし、数百の中国人行商人を追放した。報道されていないが、不法移民の中にはおびただしい数の中国人女性の売春婦が混じっていた。韓国の売春婦の輸出は世界中で有名だが、中国の売春婦たるやダンピング輸出、たとえばニュージーランドなど相場を崩すので既存の業界から総スカンという有様である。
<中国最大の売春都市・東莞(とうかん)>
・ともかく中国において「負け組」となった女性は人類最古のビジネスに狂奔するしか生き延びる道がない。中国の至るところに売春街区があるが、最大規模の不夜城が広東省東莞市だった。
・比例して「黄風暴」(風俗・売春)のメッカとして東莞が注目されたのも、工業化に遅れた分をほかの「サービス産業」で一気に挽回しようとしたからだ。なにしろ昼間から怪しげなネオン、いかがわしいサウナ、マッサージ、カラオケ、卑猥な看板の床屋が林立している。「小休憩」はラブホ。一流ホテルにもデリヘルがいる。
ここへ不況が襲った。
部品メーカーの倒産、給料不払いなどで生活ができなくなり、売春窟で稼がざるを得ない地方出身の女性がおびただしく、東莞、厚街、虎口一帯で風俗産業に従事するのは30万人と言われた。
・「黄風暴」(風俗・売春)ばかりか、その隠された狙いが博打、麻薬の取り締まりにもあるということは全土に猖獗するマフィアと政権の対立構造に事態が急速に変質していることを物語る。
果たして宿痾のごときマフィアと習政権は対決できるだろうか?
従来、地元権力と党、公安はぐるになって業者から賄賂を受け取り、取り締まりはじつにいい加減だった。地元公安の腐敗の温床、最大の利権であった。
<売春婦追放キャンペーンの結果どうなった?>
・こうした東莞のような「セックス・シティ」は浙江省杭州、甘粛省蘭州、山東省済南、江西省柳川、黒竜江省ハルビン、四川省成都などが挙げられるが、かつて四川省でもマフィアへの手入れは武装警官を投入し、やくざと乱闘、銃撃戦に発展したことがある。
折から日本でも「王将」の社長が射殺される事件が起きたが、ヒットマンは中国大連のヤクザが派遣したプロ、しかも女性で、その日の内に中国へ出国したという(『新潮45』14年3月号 高山文彦ルポ)。
<「イナゴの大群」中国移民を阻止する世界的な潮流>
・中国から海外へ移住した数は、公式に934万3000人(2013年国連『世界移民報告』)。まるでイナゴの大群、これは世界史始まって以来のことではないのか。
・米国の統計では2011年までの中国からの移民は223万1000名となった(実態はこの3倍に近い)。豪への中国人移民も100万人を超えた。
<カナダは移民制限を始めた>
<永住権をめぐって利権ビジネスが誕生>
<自衛隊はアメリカ軍の下部組織にいつまで甘んじているのか>
・世に「アメリカ派」が多いが、田母神元空爆長は「日本派」である。日本にはおびただしい数の「中国派」がいる。尖閣を「友愛の海」にしようという宇宙人首相もいたが「中国の属国になればそれはそれで日本は中華世界で生きていける」という媚中派の商人もいる。腰を抜かすことに、その商人が駐北京大使となって、途端に日中関係が悪化したが何もできずにすごすごと帰ってきた。
・田母神前掲書は続けてこういう。「現在の自衛隊は、アメリカ軍の下部組織の一つのようなもので、国としてもアメリカに守ってもらっているという実態があります。ですが、この先、未来永劫アメリカという国が圧倒的に強い存在で有り続ける保証はないのです。(中略)今の状態がずっと続くという前提で物を考えるのは、危機意識がなさすぎます。日本が自立するいい機会だと思います。中国が尖閣諸島、そして沖縄に迫っているわけですから、我が国はアメリカに対し、自衛隊を増強すると言えばいい。アメリカも現在の状況では反対できない」。
<「日本派の政治家よ、識者よ、出でよ!」>
・また情報戦争に関しては(1)相手国の情報を収集する能力。(2)こちらの情報を取られないための防諜の能力。(3)我が国に有利な情報を発信、宣伝する能力。(4)相手国を騙す積極工作と謀略の能力。これら4つの能力を強化させて、情報戦争に勝つという体制作りが急がれるとする。
<日本の進むべき道>
・「原爆を落とされた国が、いつまでも原爆を落とした国に安全保障を依拠しているのか」という猛省がなされねばいけないのである。
<異様な動きを始めた人民元>
・異常事態は仮想空間で取引されるビットコインと金(ゴールド)投機である。全世界の3分の1のビットコインは中国での取引なのである。庶民が最終的に人民元を信用していない証拠ではないか。
金そのものに逃げるカネも異常な膨張ぶりである。
<公害対策は後手後手。中国はもはや人の住める場所ではない>
・大気汚染は肺ガンを引き起こすとされ、中国の肺ガン死亡率は世界一となった。原因は殺虫剤を混ぜたガソリンがまかり通り、石炭火力発電がいまも全発電の72%を占め、その石炭にはウランが混入しており、河川の汚濁による生態系の激変(工場が毒性の強い原材料を垂れ流すので地下水が汚染され、農作物ばかりか魚介類にも甚大な被害)だ。そのうえ、レアメタル精錬でも毒性の強い化学剤をそのまま使うので、地盤の地下水に染み込み、川下の住民までが井戸水を飲めなくなった。
植林事業が円滑に進んでいないため山々に保水力がなく、治水は後手後手。これからも河川の氾濫が続けばそのまま汚染水が流れる。しかも各地に奇病が流行し、新型の鳥インフルエンザが猛威を振るう。
<中国全土で過熱する公害反対デモ>
・農地を失った農民が5000万人もいて、不満はくすぶり続け、農民一揆に似た暴動が各地で頻発する。しかし土地を勝手に農民から没収し、転売するのは地方政府の特権で中央政府の管轄するところではない。
<「中国の時代」は明らかに終わった>
・文明史的に見ると創意工夫、イノベーションが欠落した工業国家が興隆を維持できないのは火を見るよりも明らかである。
米国の衰退はじわり進むだろうが、ITや次世代技術に突出しているから急激な没落も考えにくい。しかし、中国の減退速度はもっと速く、一部の経済学者やエコノミストが予測した「2050年の米中逆転」はあり得ない。中国にはモノマネ技術はあっても、独創的技術が少なく、次代の文明を先取りする工業生産は皆無に等しい。
<中国の時代の終わりを前にして、日本はどうするのか>
<「アジアは一つ」ではない>
<米国アジアシフトの先を走れ>
・いずれ中国では不動産バブルがはじけ、不良債権の爆発が起こる。シャドーバンキングの貸出残高が326兆円、地方政府の債務は311兆円。中国の負債総額はGDPの215%!もはや手品を使ってもこの債務問題の解決は難しい。
こう見てくると、今後も連続する不測事態の始まりでしかなく、経済成長が低下して失業がますます増大して不良債権問題が露呈したら、中国は矛盾のすりかえのためにまたも過激な反日的行動を続けざるを得ないだろう。同時にそのことによって日本企業ばかりか欧米の主要企業も中国を見限るようになり、中国経済の衰退は加速化され、「中国の時代」はまぎれもなく終焉を迎えるだろう。
『北京レポート 腐食する中国経済』
緩やかに、だが確実に体制の矛盾が蝕む。
大越匡洋 日本経済新聞出版社 2016/8/26
<私は2012年からの4年間を取材記者として中国で過ごした>
・いま、あの国で何が起こっているのか、そして、どこへ向かおうとしているのか。4年にわたる現地取材による衝撃のルポ。
・帰国してから、もちろん帰国する前もそうだったが、ぐさりと胸に刺さる読者の言葉がある。「中国はよく分からない」。
日々、様々なニュースや解説を書いてきた身からすればつらいひと言だ。むろん、あれほど巨大で複雑な国家を「分かる」と断言できる人などいないだろう。もしも「自分の中国に対する理解が絶対正しい」と言い切れる人がいたら、希代のペテン師だとしか思えない。
・中国に関する情報は書店にもインタ―ネット上にもあふれている。一方で、いわゆる「チャイナ・ウォッチャー」ではない普通の人にとっては、中国を理解しようにも、理解を助ける「物差し」が不足しているのではないかと感じる。「物差し」がないまま情報の洪水にもまれれば、「よく分からない」「嫌いだ」という思考停止に陥る恐れが膨らむ。
・中国の「ハードランディング論」が一部でかまびすしいが、あらかじめ断ると、私はその輪に与しない。しかし、中国の体制内に巣くう矛盾や課題を考えた場合、長い目で見ると、ハードランディング論者が思い描く将来よりも悲観的になる部分があることは否定できない。
<「鬼城」の実像――人影のない街で「追突注意」>
<公称人口8万人の「新都心」、実際は「4万人」>
・花壇で彩られた立派な道路に高々と掲げられた標識を目にしたとき、たちの悪い冗談かと思った。「追突注意」。周りを見回しても、車など全く走っていない。それどころか、街には人影さえまばらだ。西モンゴル自治区オルドス市にある「新都心」の風景である。
・ところが、12年の春に訪れると、公称8万人の人口は「実際は4万人程度しかいない」(住民)。中国の都市で付き物の交通渋滞もない。乱立するマンションは空室だらけだ。
・「鬼城(ゴーストタウン)」。中国政府がリーマン・ショック後に打ち出した4兆元の巨額景気対策の効果が薄れ、むしろ後遺症が目立ち始めたころから、中国全土で人の住まない街が広がった。
・ただ、街中を歩き回ると、こうした人気物件は一部にとどまることが分かった。周辺のオフィスビルは空室ばかりで、仲介業者は「競争が激しい」とこぼした。地元紙によると、鄭東新区では13年だけで13棟以上の高層ビルが新設され、鄭州全体で400万平方メートルと、ほぼ4~5年分の需要に相当するオフィスの過剰供給が見込まれていた。
<在庫が積み上がる売れ残りマンション>
・「鬼城は全国に50ヵ所以上ある」。15年末、中国のインタ―ネット上に金融学者が公表した研究結果が話題をさらった。中国で計画中のニュータウンには「34億人が居住可能」という説もある。公式統計をみても、15年末までに積み上がった不動産在庫面積は7億1853万平方メートルと、2年間で5割近く増えた。
つくりすぎたマンションが売れずに在庫として積み上がり、14年から住宅価格の下落が全国に広がった。それでも不動産投資というカンフル剤に慣れた地方は、なかなか軌道修正できなかった。
・14年初め、北京から飛行機でおよそ3時間かけて中国の最貧地域の一つ、貴州省を訪れた。省都の貴陽市では、農地や荒れ地を「夢のニュータウン」に作り替える計画が進行中だった。
東京都中央区に匹敵する約10平方キロメートルの超大型の不動産開発が少なくとも4つあった。重機で山を切りひらいて高級マンションや500メートル級の超高層ビルを建設していた。工事で巻き上げられた砂ぼこりが街を包み込み、外を歩くだけで目やのどが痛くなる。だが不透明にかすんでいたのは現実の空気だけでなく、貴陽市が描く未来だった。
・地元紙はニュータウン開発で新たに500万人以上の人口を吸収できるという。ところが当時、貴陽市の人口は400万人余りだった。今の街が2倍以上になる想定での建設計画に、市民は「鬼城になりかねない」との不安を洩らした。
<ソロス氏への過剰反応――消えた統計局長が残した言葉>
<中国経済は背の高いイケメン?>
・「中国経済は心配ない『高富師(=長身でお金持ちのイケメン)』だ」。
2016年1月26日午後、北京の月壇公園近くにある中国国家統計局の庁舎で、当時の局長、王保安氏は上機嫌に話していた。15年のGDPデフレーターがマイナスに陥った原因については答えをはぐらかしていたが、「中国経済がハードランディングする恐れはないのか」との質問に対しては、待っていましたとばかりに「高富師」と答えた。
・直前の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、著名投資家のジョージ・ソロス氏が「中国経済のハードランディングは不可避」と発言したからだ。
1990年代、英ポンドを売り浴びせ、「英中央銀行を潰した男」との異名を得たソロス氏。ちょうど、15年夏の人民元の切り下げや中国の成長鈍化を受けて、元相場の下落圧力や海外への資本流出の動きが強まっていた。上海株も1月に2割下落していた。市場への影響力が大きいソロス氏が「中国売り」を公言したことに、中国当局は激しく反応した。
・ところが、初めての「意見交換」の場が終了してからわずか2時間後、事件は起きた。共産党員の汚職を取り締まる中央規律検査委員会が突然、王氏を「重大な規律違反」で調査していると発表したのだ。身柄を拘束された王氏はすぐに統計局長を解任された。
財務省時代の汚職問題で摘発されたとされるが、真相は明らかではない。いずれにせよ、政府を代表して「中国経済は『高富師』などと中国指導部のプロパガンダを唱えていた高級官僚でさえ、理由を明確に示されることなく突如、公の場から姿を消し、追い落とされる。体制内の論理を優先する姿勢は、統治にスキを生むリスクを膨らませはしないか。
<「中国当局は市場との対話が欠如している」>
・実際、人民銀は行き過ぎた元安に歯止めをかけようと、香港など中国本土外(オフショア)の外為市場で異例の大規模な元買い介入を断続的に実施していた。
<無茶な元買い介入による大きなひずみ>
・その代償は大きい。中国の外貨準備は15年通年で約5000億ドル減り、23年ぶりの減少を記録した。元を買い支える為替介入を繰り返したため外貨準備を大きく取り崩すこととなった。それがかえって海外の投資家が元売りに向かう悪循環を生み、海外への資本流出も続いた。
<中国指導部は「世界の不安」を理解していない>
・そして現在。中国当局は麻薬中毒のように、元を買い支える為替加入から抜け出すことができなくなった。米国が中国側の動きを容認するかしないかは本質的な問題ではない。元買い介入を続ける中国当局はその規模など詳細を明らかにせず、「中国経済は安定している」「高富師だ」などと宣伝文句を繰り返す。政策決定が不透明なだけでなく、政策が持続可能かどうか判断する材料も乏しい。
不透明感が市場に生んだ不安感は、中国の統治が八方ふさがりになるのではないかという不信感をはぐくむ。中国の体制を巡って世界が何を不安に感じているのか。残念ながら、中国指導部が本当に理解しているとは思えない。
<鉄余り、日本4つ分――五分五分の「中所得国のわな」>
<もはや「供給側改革」が避けられない>
・習指導部が「供給サイドの改革」と名付ける構造調整を本格化するとの宣言だった。長年先送りされてきた矛盾の解決に手を着けなければ、もはや持続可能な成長は望めないとの危機感がにじんだ。
<世界の粗鋼生産力、過剰分の6割は中国>
・要するに、老朽設備の「削減・淘汰」といいながら、実際は設備の稼働を休止していただけなのだ。結局、いつまでたっても中国の鉄鋼の設備稼働率は7割程度の低水準をさまよっている。
<統計には表れない「隠れ失業者」>
・「中国には『隠れ失業』の問題がある」。中国では少子高齢化に伴って働き手が減り、雇用の悪化圧力は和らいだようにみえる。15年の都市部の新規就業者数も1312万人と、政府目標の1000万人を上回った。しかし、表に出てくる統計では見えない実態がある。
内陸部の国有石炭会社で管理職を務める男性の給与は16年2月から、前年の半分以下に減った。景気減速で石炭価格が下落し、会社の経営が傾いたためだ。その結果、年収はピーク時の1割に届かなくなった。その代わり、出勤するのは月に1、2回だけだ。
国有企業では業績が悪化してもすぐに人員整理には踏み切らず、一律に給与を引き下げるなど、究極の「ワークシェアリング」で表向きの雇用を守る。
<目先の経済対策に溺れ、「中所得国のわな」にはまるリスク>
・大学や大学院など高等教育機関の卒業者は16年だけで760万人を超え、高卒などを含めると約1500万人の若年層が新たに労働市場に加わる。そこに構造調整の圧力が加われば、雇用情勢の先行きは不透明さを増す。
・中南米など多くの国が一定の経済成長を経たあと、長期停滞に陥り、結局は高所得国という先進国の仲間入りができなかった。さらに成長を持続できるかどうかのカギは経済の構造改革が握るが、得てして目先のことばかり考え、採算の見込みも立たない投資で足元の景気をふかす「古い道」をたどりがちだ。景気の下支えと称して無駄な投資を増やし、失業や不良債権の増加といった「痛み」が生じることを先送りする。
中国が「中所得国のわな」にはまる可能性は「五分五分」よりも高まっているように見える。
<忍び寄る老い――払いきれぬ産児制限のツケ>
<親が罰金を払えず、「無国籍者」として生きる>
・しかも、一人っ子政策に違反した夫婦からの罰金は、中国本土で年間200億元を超えるという。権力側にとって、産児制限は国民を監視しつつ、財源まで得られる実に都合のよい仕組みだ。
今後も続く産児制限への庶民の不満の矛先をそらす狙いもあるのだろう。習指導部は新たな手を打ってみせた。16年1月半ば、政府が全国に1300万人いると推計する無国籍者に、戸籍を与える方針を打ち出したのだ。
だが、李さんはいまも楽観していない。1300万人の根拠は国政調査だが、過去の国勢調査で李さん一家は一貫して調査員から無視されてきたからだ。「私は『1300万人』にさえ含まれていない」と、李さんは語る。
戸籍を得たら何をしたいのか。李さんが語る夢はあまりに素朴だ。「勉強したい。家族に迷惑をかけず、自立した普通の生活を送りたい」。中華民族の偉大な復興という「中国の夢」を掲げる習氏の耳に、李さんの声は届いていない。
<「民主的な手続き」が不可欠な負担の分かち合い>
・国や国有企業が医療費を丸抱えするのをやめ、中国が公的医療保険制度を整え始めたのは1990年代末から。制度はいまだ未成熟で、手術などの前に病院から多額の預かり金を求められるのが現実だ。
「辛辛苦苦幾十年、一病回到解放前(苦労して数十年働いても、いったん病気になれば49年の解放前の貧しい生活に戻る)」とさえ言われる。
習近平指導部は医療や年金など「民生の充実」で貧富の格差への不満を抑え、党支配を維持しようとしている。どこの国でも、負担の議論なしにバラ色の未来は描けない。中国全体が陥りかねない「民主主義の不在」という落とし穴は大きい。
<先進国になる前に、急激な高齢化が襲う>
・ニッセイ基礎研究所によると、中国の国と地方を合わせた社会保障経費は2014年に計2兆6000億元を超えた。5年間で約2倍に増え、一般財政支出の2割弱を占める。
高齢者の急増と未熟な社会保障の整備の両面から、医療などにかかる財政負担は今後も増す。36年前の公開書簡は「問題は解決可能」と強調したが、鄥氏は「これほど少子高齢化の問題が深刻になるとは想像できなかった」と明かす。
人口爆発と食糧難への恐れから「国策」としてきた産児制限の軌道修正は遅きに失した。
・中国政府によると、新たに2人目の子どもを持てる夫婦は全国で9000万組あるという。その半数は40歳以上だ。世界銀行は「中国の労働力は今後25年間で10%以上、9000万人減る」と予測する。中国は総人口も25年ごろにピークに達して減少に転じ、労働力不足と需要鈍化が成長を制約する。強気の中国政府系のシンクタンクさえ、11~15年に7%台後半だった潜在成長率が16~20年には6%強に下がるとみている。
介護など新市場の創出や生産性の向上が今後、期待できないわけではない。だが少子高齢化と人口減が経済に長い停滞をもたらす恐れは、日本の例が示している。中国の人口は日本の10倍を超える。世界最大の人口大国の老いが世界経済に与える衝撃は計り知れない。
<「L字」志向の落とし穴――危うさ潜む地方の統治能力>
<「市場の決定的な役割の発揮」は進まない>
・「たとえ景気が底入れしても、『Ⅴ字』や『U字』の急回復にはなることはない。中国経済は高速から中高速へ成長速度を調整する過程にあり、基本的に今後は『L字』に近い形になるだろう。2020年まで年平均6.5%以上の成長をめざす指導部の目標は実現可能だと思うが、特定の年に6.5%を多少、下回ることがあってもかまわない」
・しかも劉氏の認識は、いまだ中国経済はLという字の「横棒」にさえ達しておらず、「縦棒」の途上、つまり成長が鈍化する局面が続いているというものだった。
・過度な規制によって様々なゆがみが生じている経済に、メスを入れる。多くの人が習指導部の改革姿勢に大きな期待を抱いた。しかし、それから3年近くが経過した今、金利の自由化など一部の分野でいくつか前進がみられたものの、「市場の決定的な役割の発揮」とはほど遠い状況が続く。北京の知識人の間では「肝心の国有企業改革は見込み薄だ。一部を合併・再編し、大規模化するだけに終わるだろう」と急速に期待がしぼんでいる。
・それでも、改革は思うように進まない。国有企業をはじめ体制内に幅広く、複雑に絡み合った既得権益層の抵抗があるのに加え、巨大な国を統治するうえでの「手足」となる地方政府が思うように動かない。
<「鶴の一声」で地方政府の方針が急変>
・共産党が市場までも統制しようとする官製経済は、法治やルールよりも党幹部の意向を重んじるため、経済の安定を損なうリスクをはらむ、それは国家の統治そのものを揺さぶる。習指導部があれだけ「ゾンビ企業を退治せよ」と地方に「改革」を命じても実際には進まないのは、地元政府は地域経済への打撃を恐れて補助金などを支給して延命を図る例が後を絶たないためだ。
<最終目標から逆算された「6.5%」成長>
・一方で、リスクは着実に積み上がっている。中国当局の集計では16年3月末の中国の銀行の不良債権残高は約1兆3900億元と、1年前に比べて4割増えた。融資全体に占める比率はいまだ2%程度にとどまるが、不良債権予備軍である「関注(要注意)債権」を含めれば、その約3倍に達するのが実情だ。
・実際の景気は成長率から6.5%を下回りかねない強い下振れ圧力にさらされている。16年に入って中国政府は地方のインフラ投資を加速し、景気は表向き持ちこたえている。だが、こうした動きは痛みを伴う構造調整を後回しにし、再び過剰な設備や債務を膨らませる「古い道を逆戻りしているようにしか思えない」(北京の研究者)。
習氏は第13次5ヵ年計画で、約5500万人いる貧困人口をゼロにするという新たな目標を掲げた。これについても「経済成長率が想定より鈍って所得倍増の目標が達成できなかったときのために、脱貧困という『保険』をかけているのではないか」との見方がくすぶる。
<真の「中国リスク」とは、何か>
・長江を挟んで上海の対岸に位置する江蘇省南通市。15年秋、川沿いの地域からは人けが消え、飲食店や売店は軒並みシャッターを下ろしていた。民営造船会社の南通明徳重工が経営破綻し、地方からの出稼ぎで8000人いた従業員は8月末までに全員いなくなった。残ったのは、廃村のような風景だ。
世界最大の4割近いシェアを誇る中国の造船業を一足早い厳冬が襲う。15年1~9月の新造船の受注は前年同期に比べ7割減った。過剰設備を抱える産業の代表格となり、銀行も融資に及び腰だ。高利貸しに手を出す会社も多く、経営破綻が相次いでいる。
・しかし、いま我々が「中国リスク」として目をこらすべきなのは、「中国指導部は目先の景気を下支えする力量はあるが、中長期にわたって持続可能な安定成長を保てるかどうかには疑問符が付く」という点ではないだろうか。
中国共産党の一党支配は、世界からみても強固で精緻な体制であることは間違いない。とはいえ、英国の歴史家アクトン卿がいうように「権力は腐敗する。絶対権力は絶対に腐敗する」。
中国の体制は多数の政党による選挙や自由な報道を欠き、権力に対する監視やチェックが働きにくい。頼るのは自浄作用だけだ。
<●●インターネット情報から●●>
ウィキペディアWikipedia(フリー百科事典)より引用
鬼城 (地理学)
鬼城(きじょう、拼音: Guǐchéng グェイチョン)は、ゴーストタウン(英語: ghost town)を意味する中国語。
本来は、元々住んでいた人々がいなくなった廃墟や死の町を指すが、現代中華人民共和国では、特に投機目的の不動産投資と開発運営事業の失敗により完成しないまま放置されたり、人々が入居する前に廃れた都市や地域を指す表現として使われている。
(実例)
鬼城は具体的には、杭州市郊外の天都城、内蒙古自治区のオルドス市の康巴什新区があるが、実際には中国各地に同様の鬼城(ゴーストタウン)があるとされる。オルドス市の新興住宅地は100万人都市として計画・開発されたものの、2011年2月の報道では実際に居住しているのは3万人程度で、それにもかかわらず平米あたりの住宅価格は、上海市並に高騰していると伝えられた。
2013年7月18日の広東省の週刊経済紙『時代週報』の記事は新たに問題化している鬼城として内モンゴル自治区のオルドス市、清水河県、バヤンノール市、エレンホト市、河南省鄭州市鄭東新区、鶴壁市、信陽市、遼寧省営口市、江蘇省常州市、鎮江市丹徒区、湖北省十堰市、雲南省昆明市呈貢区を例に挙げている。
また、世界最大のショッピングセンターを目指しながら「鬼城」化した巨大ショッピングモールの例として広東省東莞市万江区の新華南モールがある。
『中国大動乱の結末』
混乱が止らない経済・政治・社会を現地から驚愕レポート
邱 海涛 徳間書店 2016/10/29
<農業国家>
・そのうち農業に携わる人口は3億1000万人で、中国産業総人口の50%を占めている。立派な農業国家であることは議論の余地がないだろう。
・だから、中国はGDPの大きさを喧伝しているが、農村部の立ち遅れの状況が改善されないかぎり、真の経済大国になれるはずがない。
・「この10年近く、農村はひどく荒廃してきた。多くの村には人の影がなく、家屋が倒れかかり草が膝まで伸びている。村がどんどん消えている。農村の廃頽ぶりは人を落胆させるほど凄まじく、故郷が失われようとしている。これから中国で何が起こるかはわからない。僕は心を痛めているのだ」
<「農民階級は私利私欲の塊」>
・これにはいろいろな説がある。中華人民共和国の成立後、食糧不足が深刻化したので、農村から都市への人的移動を制限するために設けられた制度だという説もあれば、近代化が立ち遅れる状況のなかで、社会主義国家を急速に建設するためには、安い労働力を大量に備蓄する必要があったという説もある。その説にも一理あるだろう。
<兵力供給源を確保>
・2つめの要因は、毛沢東が世界大戦の開戦に向けて軍事力を備えるためだったというものだ。これも十分に考えられるだろう。
・中国は朝鮮戦争、ベトナム戦争に介入し、また中印・中ソ国境戦争も行っていた。8億の農村人口という豊かな兵力供給源が、中国の参戦をいつでも可能なものにし、世界大戦開戦へ向かうという毛沢東の狂気を支えた。
・しかし、いまでも農村部の若者たちにとっては、軍への入隊が貧しい農村から脱出する唯一のチャンスとなっている。
<「城鎮化」に疑問の声がぞくぞく>
・いま、中国経済は崩壊寸前に差しかかっているといわれている。そこで、李克強首相は2014年2月、2020年までの国家的プロジェクトとして「城鎮化」計画を打ち出した。
城鎮化とは、李克強首相の経済成長戦略のもっとも重要な目玉政策の1つであり、改革路線が行きづまるなかでの窮地脱出策として練りあげられた。壮大な計画だといわれている。中心になるのは、農民を都市部に移住させることである。日本語でいう「都市化」のことだ。
<怪しい失業率統計と難しい失業登録>
・しかし、30数年経ったいま、深圳都市化の例はすでに時代遅れになり、中国農村問題の解決法としてはまったく当てはまらなくなっている。中国経済が深刻なほど悪化しているからである。
だいたい、都市に移り住んだ農民が何を収入源に暮らせるというのだろうか。
中国政府は毎年、失業率を公表しているが、その数字は怪しいと指摘する声が多く、あまり信用できないという見方が根強い。
・民間では、実際の失業率は10~15%に達しているともささやかれているが、もっと悪いかもしれない。というのも、2億7000万人といわれている都会で働く農民工は、政府の失業率統計対象から外されているからだ。昔も現在もそのやり方がまかり通っている。
・農民が夢の市民権を手にして都市部へ移り住んだからといって、安定したまともな仕事がもらえる可能性は少ない。働く場所がなければ、都市はスラム化する恐れが十分にある。
中国政府は新しい都市で、1000万人の雇用を創出することを計画している。しかし、中国では中学生を含めて毎年1000万人が卒業している。就職市場での競争は激しく、勝てるのは若者のほうだろう。
・中国の民間企業の数は約1000万社で、中国の労働力の70%は民間企業で働いている。しかし、中国の調査会社の統計によると、民間企業の平均寿命はわずか3年前後と非常に短命である。
<少ない補償金>
・したがって、農地や家屋などの買取で、合計最大50万~70万元が支払われることになる。しかし、このくらいの額で上海のような大都会でマイホームを持つことは絶対に無理で、200~300万元の大金がなければ買えない。
・家と農地を失って生活基盤が崩れる農民は、これから先、大変な地獄が待ち受けることになるだろう。
<公租房も民間賃貸も役に立たない>
・中国の住宅価格が高騰した背景には、多額の借金をしてでもマイホームを持ちたがるという中国人の特質にある。その大きな理由は、日本のように賃貸住宅仲介業が普及していないことだ。
中国に賃貸住宅がないわけではないが、日本のような1つの産業にまではなっていない。個人の大家が他人に部屋を貸すといったレベルで、公正公平なシステムや基準がなく、大家の気持ちしだいで契約の期間が縮められたり、家賃がいきなり倍に跳ねあがったりすることも多い。日本で入居者の権利が優先されるのとは大違いだ。
<ここ数年、日本では中国の報道について、かなり悲観的なものが目立つようになってきた。>
・さまざまな中国報道でも、内外で一致しているのが中国経済の落ち込みについてである。国内は経済の減速がますます目立つようになり、輸出入も低下の一途をたどっている。
<中国農業はアメリカ、日本より100年も遅れている>
・2012年5月、中国科学院中国現代化研究センターが「中国現代化レポート2012:農業現代化研究」という報告書をまとめた。それによると、2008年の時点で、中国農業経済はアメリカより100年も遅れているという。
2008年からすでに10年近くが経過しているが、中国農村部の状況はさほど変わっていないだろう。むしろ事情はさらに悪化していると思われる。出稼ぎで都会に来ている農村部の若者の9割が、貧乏で希望のない故郷には戻りたくないと思っている。
・中国農業近代化の始まりは1980年からで、世界先進国より100年ほど遅れている。農業増加値比率、農業労働力比率、そして農業労働生産率という3つの基準を照らしてみれば、2008年までで、中国はイギリスより150年、アメリカより108年、日本とフランスより100年、韓国より36年遅れている。
・報告書によれば、中国人1人当たりの可耕面積は、世界平均の40%、1人当たりの淡水資源は世界平均の33%、農業生産性はアメリカの1%にとどまっている。
たしかに、中国の国情はかなり厳しい。中国の国土は、面積は広いかもしれないが、現在では農業に適する土地は全体の10分の1にまで激減している。1人当たりの可耕面積はヨーロッパの3分の1、アメリカの10分の1、インドの2分の1しかない。土地のほか、水、鉄、銅、石油、天然ガス、アルミなどの資源も非常に少ない。
・もっとも重大な問題は、水が足りないということである。1人当たりの水の使用量は世界基準の4分の1しかない。西安、太原、大連など約300の都市は水の供給が困難で、首都北京でさえ断水の日がたびたびある。
先の報告書では、農業の現代化を実現するためには、これから40年をかけて農業生産人口の3億1000万人のうち2億8000万人を都会に移転させなければならない。残った3000万人に農業をやらせれば十分だと提言している。
<2020年までに小康社会を達成>
・2012年11月に行われた中国共産党第18回党大会では、「2020年をめどに全面的な小康社会(いくらかゆとりのある社会)の建設を完成させ、GDPと都市部・農村部の1人当たり平均所得を2010年の2倍に引き上げる」という目標が宣言された。
2010年のGDPは約40兆元だったので、2020年にはGDPを80兆元まで伸ばすということだ。
<中国の食糧不足は深刻化>
・一方、中国の食糧不足はすでに深刻化している。
2016年2月23日、中国農業部は「ジャガイモ産業開発推進に関する指導意見」を公表した。主旨は小麦、米、トウモロコシに続いて、ジャガイモが2020年に第4の主食として中国人の食卓に上がるということで政府が正式に決定したものである。贅沢な食生活に慣れた都会人の多くにとっては、かなりショッキングな内容である。
・一方、いままで「1人っ子政策」の実施によって、もう1つの大きな社会問題が起こっていた。それは、「黒戸口」と呼ばれる戸籍を持たない子供たちが大勢いることだ。その多くは農村部で発生している。労働力として男性を必要とすることから、女児が生まれると、捨てたり、売ったり、隠して育てたりする家庭がかなりあった。
捨てられた子は街で流浪し、売られた子は他人の家で暮らし、実父母と再会する確率は絶望的に低い。隠して育てられた子は、父母と一緒にいるのでまだましだ。彼らには共通点が1つある。それは戸籍をもらえないということである。戸籍がなければ、学校も行けず、仕事もできず、病気になっても病院に行けない。もちろん、結婚もできない。
しかし、「1人っ子政策」の廃止とともに、政府はようやく救済措置に乗り出した。「黒戸口」の全員に戸籍を与えようとしている。政府の調査では、戸籍を持たない子供の人数は約1300万人にのぼり、全人口の1%にも達しているという。おそらく実際はもっと多いだろう。
<深刻な水不足で黄河は断流>
・中国人1人当たり可耕面積が世界平均を大きく下まわるうえ、土の質が悪い田畑が多数で、農業灌漑用の水も足りない。これも食糧生産を大きく制約した原因といわれている。
・降雨量が極端に少ないのが北方地域の特徴で、この気候が北方を水の少ない地域に変えてしまったのだ。だから、水資源が枯渇するのは主に中国北部地域に集中している。
一方、渇水がひどくなったのは改革開放が始まってからであった。工業・農業用水が急速に増えたためだ。そのため、黄河の水が枯れて海まで届かない「断流」現象がたびたび起こるようになった。
<離婚ビジネス大流行の背景>
・2004年、「中国式離婚」という長編小説がベストセラーになった。おそらく100万部以上は売れただろう。テレビドラマ化され、大勢の市民がテレビの前に釘づけになった。そのころ、離婚サービスを提供するビジネスが大繁盛した。あちらこちらに離婚斡旋会社が生まれた。私の友人もそうした会社を立ち上げ、大儲けしたそうだ。
・離婚斡旋会社の仕事を簡単に紹介すると、離婚したいと思っている夫婦の双方から事情をよく聞き、関係修復が可能そうであれば、双方を説得して仲直りさせる。夫婦関係がもはや修復不可能なほど悪化し、そのまま維持しても双方の苦痛になる場合には、きっぱりと離婚させ、新しい人生をスタートさせる。そうしたアドバイスや各種手続きを行なっている。
このビジネスが大成功した理由は、これらの会社は貧しい庶民夫婦の離婚相談はほとんど受けつけず、金持ちの夫婦だけをターゲットにしているからだ。そして、建前としては「まずは仲直りを目指す」と言いながらも、本当は離婚するように仕向けて、分割された財産の数パーセントを報酬として双方からもらおうとする。その際、夫婦が納得する財産分割案をいかにつくり上げるかがポイントとなるそうだ。
・中国の離婚人口が急増する背景には、「二奶(アルナイ)」という存在が大きな要因となっている。二奶とは中国語で愛人のことで、中国富裕層の男性が愛人にカネをつぎ込むのは当たり前のことになっている。どれだけ愛人を持てるかが男のステータス・シンボルだという意識は、いま中国人男性の間にかなり定着している。摘発された腐敗役人の90%は公金で複数の愛人を囲っている。日本でも中国の二奶に関する報道が結構ある。
<今度は離婚させないビジネスが繁盛>
・しかし、1年ほど前から、離婚業界に異変が起こった。これまでは離婚サービスを提供していたが、今度は離婚させないサービスも提供するようになったのだ。そして現在では、離婚サービスより、今度は離婚させないビジネスのほうが繁盛して利益も莫大だという。
<中国経済は40年も後戻り?>
・電力の使用量、鉄道の貨物輸送量および銀行の融資額、これらの3つのデータは、かつて「李克強指数」とよばれていた。李克強首相は就任当時、GDPなどの指標よりもこの3つのデータを見たほうが、中国経済の実態がわかると主張したことがあるからだ。
・喬(中国国電集団公司の取締役会長)によれば、2015年の火力発電の電気使用時間は4329時間で、1969年以降で最低の記録となったという。2016年はさらに300時間減るのではないかと推測している。
その数字に筆者は驚いた。大ざっぱに計算してみよう。1年は365日、1日24時間だから、年間8760時間ある。4329時間とは、年間半分の時間にすぎず、残りの半分の時間については電気が使われていないということになる。
これがどういう状況か、ぴんとこない人がいるかもしれないが、喬が「1969年以降で最低の記録だ」と言ったことを理解すれば十分だ。
<春は二度と来ない>
・中国人民大学の著名な経済学者、向松祚は、多くの鋭い発言で社会から注目されている人物だが、最近、「中国経済はそのままでも決してL型の曲線(下降後に下げ止まり、その後は横ばいが続く)ではなく、さらに衰退し、悪化し続けるだろう」と発言している。また、中国経済にとって最大の危機はイノベーションがないことだと、ずばり指摘した。筆者はこの見解に大賛成だ。実体経済のない国は未来がないと思っている。
・2015年の年末ごろ、中国社会科学院は、「メイド・イン・チャイナ(中国製造業)の新常態」と題した報告書を公表した。中国経済が失速している実態の深刻さを隠せずに伝え、現状の惨めさを「春は二度と来ない」「前門には虎があり、後門には狼があり」といった自虐的な表現を使うなど、強い危機感を表した。過去の強気一辺倒の姿勢はまったく見えなかった。この報告書の概要は日本でも紹介されたことがあり、中国専門家の間に波紋を広げたそうである。
<資産売却で国が救われるのか>
・BIS(国際決済銀行)は2016年9月18日、GDPの2.5倍にまで膨れあがった中国の債務総額について、「今後3年間で深刻な問題を引き起こす兆候である」との警告を発した。
・総与信とGDPの差を算出すること(GDPに対する総与信ギャップ)で経済危機レベルを調べることができるが、その数値が10%に達すると危険状態に入るとされる。たとえば、アメリカでサブプライムローン危機が訪れたのは、総与信対GDP比率が10%を突破した直後であった。しかし、中国ははるかにその危険ラインを越えて、すでに30.1%にも達しているのだ。アメリカのサブプライム危機より3倍もリスクが高まっている。
<2017年は中国の生死を問う年になる>
・本書で述べたように、いまや中国は、国内でも海外でもさまざまな矛盾が顕在化し、経済、政治、社会における不安定さは日を追うごとに増してきている。筆者も、現在の中国は大胆な改革なしでは、いずれすべてが立ち行かなくなり、現在のシステムそのものが瓦解する可能性が高いと見ている。繰り返しになるが、2017年秋の党大会で習近平政権が大きな改革を成し遂げられるかどうか、それが今後の中国の運命を左右するといっても過言ではない。